『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

スマートスピーカーで鍼灸院のBGM

 “スマートスピーカー”が流行語大賞になったのはすでに2017年のことで、今回「にき鍼灸院」でも導入したのですけど、もう珍しいケースではないと思われます。しかし、活用法がかなり整理できたのでブログにまとめてみました。

 2019年時点での日本国内では、「Googleホーム」「ラインクローバー」、そして「アマゾンエコー」の三つが大きく流通しています。それぞれディスプレイの有無などで何種類かがあり、また中心部分を使って別メーカーから特徴ある製品も発売されています。
 これらスマートスピーカーに共通した特徴は、「OK Google」「クローバー」「アレクサ」などウェイクアップキーワード、つまり命令を開始するための言葉を認識して、そこから会話形式で様々な動作をさせられることです。一番活用頻度が高いのは音楽やラジオなど音源となるものを流すことでしょうけど、フラッシュニュースや路線情報や天気予報を調べるだけでなく、タイマー機能やメモ帳代わりに使ったりなど用途は多彩です。「おはよう」と挨拶をするとついでに今日の出来事を教えてくれたり簡単な翻訳をしてくれたり、変わったところではものまねをしてくれたりと多種多彩に進化中です。ディスプレイの搭載されている端末ならゲームもできるようですしyoutubeも閲覧ができるのでしょう。日本では普及が遅れていますがエアコンや照明器具など連動させられるスマート家電の操作があります。

 どうして「にき鍼灸院」でも導入しようかとなったのかは、インターネットで配信されてくる番組のポッドキャストを10年以上も長生きしてくれているiPod nano第四世代で治療中に流しながら聞くのが習慣ながら、これが時代の流れに追いつけなくなってしまったことが一番の要因でした。パソコンで受信してからiPod nanoへ転送するのですが、パックさせる音声ガイドに「みさき」の声を使おうとすると「XPナボ」というスクリーンリーダーのエンジンが必要で当然ながらXPパソコンでなければならず、また最新のiTunesではキーボードからのメニュー操作が非常にやりづらいのでこれもXPパソコンを使い続ける要因になっていました。
 ところが配信情報が記述されたXMLファイルの最新版にバージョンアップが停止しているiTunesでは対応できなくなってしまいました。最初は「日経トレンディ」に始まり、受信エラーを起こす番組が増えて、特に毎日聞くニュース番組の飯田浩司のOK! Cozy up! | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93がエラーを出すようになってから、うっとうしくて仕方ありませんでした。
 最新のXMLファイルであったとしてもアップル純正のポッドキャストアプリなら問題なく受信できるのですけど、これが簡単に「じゃiPhoneiPod nanoと交換すればいいじゃないか」となりません。iPhone7からはヘッドホンジャックが廃止されているのでアダプタをまず装着してからアンプのオーディオコードを接続しなければならないという煩わしさがあり、加えて番組を切り替えようとするとコードは机の上まで届きませんから高い場所のiPhoneを手を伸ばして操作しなければなりません。もっと困ったことは途中で電話がかかってくると、ライトニング端子からコードを抜かないと通話ができないのです。小手先の対応策では治療の進行を妨げてきました。けれど聞きたいポッドキャストIOSのどれかを持ってこないことには打開策がありません。

 さらにもう一つ大きな要因がありました。音楽やラジオを有線放送で治療室へ流してきたのですが、「にき鍼灸院」を開業をした平成元年では音楽を流しっぱなしにできるサービスは有線放送しか選択肢がなかったのです。FMラジオなら音楽もニュースも聞けそうなものですけど、地方ではFMラジオはNHKばかりで、民間FM局が開局してきたのはしばらくしてからのことです。もっとも後述するJBS日本福祉放送が新聞朗読のサービスを開始していましたから、これを聞くための有線放送でもあったのですけど、iPhoneのアプリでも受信できるようになりいずれにしても有線放送であるべき理由が薄れていました。
 ありがたいことにベッドの空き時間がほとんどなくなっているのでパソコンを触る時間も当然なくなっており、鍼灸院は光ファイバーを導入しているのに活用し切れていないことからインターネットから音楽配信がされているのでスマートスピーカーに置き換えてしまえば、有線放送が解約できるので経費も安くなり一石二鳥だと思いついたのは2019年の2月に入ってからです。
 アマゾンはプライム会員であり、すでにアマゾンミュージックも活用しているのでラジコと合わせればBGMは間に合うだろう、スマートフォンのアプリに相当するスキルというものも一番充実していて導入しやすいという評判であり、2018年秋に第三世代の端末が発売されたばかりというタイミングもあってアマゾンエコーに的を絞りました。
 スピーカーだけのタイプなら6000円なので、「これなら迷っているよりも先に買ってしまった方が早い」とすぐ注文してしまいました。いつもなら十分に下調べをしてからしか購入しない癖があるので、本体が届いてから一週間くらいは逆に遊ばれてしまっていた感じがありましたけど・・・。

 大きさはせんべいが分厚くなったというところで、重量も300g前後というところ、どうしてこんな大きさのもので大音響が出せるのか、ベッドが二つくらいの治療室なら十分すぎるBGMに使えてしまえます。マンションのような住居なら一台で十分ですし、戸建てでも複数設置して連動させて使うことができるのでオーディオにそこまでのこだわりがなければオプションを追加しなくても大丈夫と思います。実際にベッド二台の治療室で、本体のみで十分に運用できている先生の話を複数聞いています。「にき鍼灸院」は大小二つの治療室に待合室がありますから合計6つのスピーカーをオーディオアンプで鳴らしてきたので、iPod nanoを接続していたオーディオコードをそのまま利用してアンプから鍼灸院全体へ流すようにしています。外部スピーカー状態にしていても、音声命令は普通にそのまましゃべりかけるだけです。
 ただし、バッテリー駆動はできないので持ち歩くことはできません。またwifiが安定していることと、設定にはパソコンかスマートフォンが必要です。アマゾンアカウントへの登録がなくてもセットアップ時に簡単に登録できますから、ここは大丈夫です。

 セットアップはまずパソコンのブラウザからでもスマートフォンのアプリからでもかまいませんからアレクサアプリでアマゾンへログインしておき、次にアマゾンエコーの電源を入れると同じwifi内にあることが検出されます。検出されたアマゾンエコーはまだインターネットに接続されていないので、まずは自分のアカウントに紐付けた端末であるとアプリから宣言し(支配下に入れると書いた方がわかりやすいかもしれません)、続いてwifiのパスワードを入れるとアップデートが開始されるのでしばらく待ちます。たったこれだけで使えるようになってしまいます。
 今回購入したのは、スピーカーのみのアマゾンエコー・ドットの第三世代です。これについて説明すると側面にある二つの端子を上方向にしたとき、右が電源コード端子で左が外部スピーカー端子になります。上面には四つのスイッチがあり、上下はボリュームで右が強制ウェイクアップモードで左はリセットスイッチになります。そして「アレクサ」と呼びかけると指令を聞いてくれます。ボリュームも10段階で音声コントロールができますから、通常はアマゾンエコー本体を全く触らずに使うということになります。ただ音源ごとに元の大きさが違うので「にき鍼灸院」ではより細かく音量調整ができるので、ボリュームボタンは割と頻繁に触っています。
 次にアレクサアプリから「デバイス」「設定」「サウンドと進み、リクエストの開始と受理の時に音を出すようにスイッチを切り替えておくと便利だと思います。初期値ではオフになっていてこれでも普通に操作できるのですけど、こちらの指示を聞き始めたのか受理委をしてくれたのかの確認ができた方がストレスがないからです。IOSのボイスオーバーでは「トグルスイッチオフ」と読み上げてしまうのですけど、この方がスイッチが入っています。アマゾンのアプリはなぜ香ると属性の付け間違いで反対になっていることが多いです。でも、オルト属性をほぼ付けてくれているのですからありがたいと思っています。
 その他の設定として、会員情報から地域や通貨単位などは自動的に日本のものが選択されますから確認だけでいいです。音楽サービスはプライム会員ならアマゾンミュージックがステーションもアマゾンミュージックが自動的に選択されるので、ここもそのままにします。音楽はスポティファイも選べるのですけど、有料プランに登録してあるものだけで無料プランのストリーミング再生はできません。フラッシュニュースは各種が用意されているのでアプリからチェックをして再生順序をコントロールしておけば、かなり便利な情報ツールになります。

 さて、ここからいろいろな動作をしてくれるスマートフォンのアプリに相当するスキルを必要と好みに合わせて組み込んでいきます。アレクサアプリ内から検索することも可能ですけど、パソコンのブラウザからamazon.co.jp Alexaスキルで検索する方が似たものと比較しやすく欲しいものが探しやすいと思います。スキルは有効ボタンを押したなら瞬時に使用可能となるので、まずは動作チェックを兼ねて一度操作してみます。ついたくさんのスキルを入れてしまいがちになるのですけど、スキルを呼び出すキーワードが固有名詞なので何度も使わないと忘れてしまうという落とし穴にはまってしまうため、提供者の努力に報いるためにも有効にしたスキルは必ず使いこなせるようにしたいものです。
 ポッドキャストの聞けるスキルも徐々に増えてきていて、先ほどの“ok cozyup”のスキルもエントリーされたことから、早速に有効にしています。けれど個人で配信されているものなどでは対応が期待薄なので、後述するブルートゥース接続でiPhoneから音源を持ってきていたりします。

 インターネット経由でラジオ放送が同時配信されているラジコは、居住エリアのラジオ局は無料で聞くことができます。プレミアムにも対応しているので、会員ならスキルページからログインしておくと全国のラジオが放送局名を指定するだけで聴けます。購入時からスキルは有効になっているので、「アレクサ ラジコでFM滋賀を再生」と呼びかけると「ラジコへようこそ ラジコでE-radio FM滋賀を再生しますか」と確認があるので「開始」などで「ラジコでE-radio FM滋賀を再生します」と、これだけでラジオ放送が流れ出します。
 NHKラジオも第一は地域の放送がFMは東京がラジコの正式サービスになったので、ラジコから呼び出せます。タイムフリーには対応しないのがちょっとだけ残念ですけど、民間FMがあるのでこれだけでも一日中BGMには不自由しないくらいです。ラジオ日経代にもウィークデーはほぼノンストップで音楽を流しているので、聞き応えがあります。

 さてアマゾンエコーだけでは受信できない音源を、ブルートゥース経由でもらってくる方法です。一般的なブルートゥースのペアリング方法と何ら変わらないのですけど、ペアリングボタンがアマゾンエコーにはついていないのでアプリから行う点だけが違います。アレクサアプリからメニュー、デバイスの設定、該当するアマゾンエコーの名前と進むとブルートゥースの項目が現れるので、ペアリングモードにします。次にiPhoneなど音源を提供する側からペアリングを実行します。「スマートフォンと接続」「スマートフォンとの接続を解除」が、ブルートゥースのオン・オフのコマンドになります。
 何度かiPhoneのボイスオーバー環境からだとうまく連携できないことがあったのですけど、単純にいくつもの動作が重なってのことでありiPhone側で音源の再生を開始してロック状態にしてからペアリングさせると、失敗することがなくなりました。あるいは接続を先に行ってからアプリの操作をします。一度アマゾンエコー側から音源が流せれば、その後は普通にボイスオーバーでの操作ができています。電話での着信があったときには、ブルートゥースは自動的に一時オフになるので普通に応答ができます。電話が終わったなら自動復帰してくれるので実に便利です。
 ブルートゥースは距離が短ければほとんど電力を消費しない無線接続なので、同じ机の上に置いておけばiPhoneのスピーカーを鳴らして使っているよりもバッテリーの減少が抑えられるくらいです。ただ、ボリュームがそれまで再生していたものと食い違ってしまうケースが結構多いので、患者さんがベッドで横になっているのですからすぐその場を離れずに音量調整はこまめにしています。
 ポッドキャストはアップル純正あぶりを使っていて、最新エピソードは立ち上げたときの「今すぐ聞く」画面から番組名をダブルタップするだけですぐ再生されます。余計な読み上げをボイスオーバーが繰り返してくれるので、直ちにロックボタンも押しています。もう一度聞きたかったり過去エピソードは少し深い階層まで降りていかねばならないので省略しますけど、これはアプリの構造なので仕方ないでしょう。

 そして、「今日の新聞」の朗読をしてくれているJBS日本福祉放送iPhoneで聞く方法です。アンドロイドのアプリでも、ほぼ同様でしょう。JBSは視覚障害者向けのラジオ放送ですが電波での放送は行っておらず、有線放送やケーブルテレビおよびインターネットで聴取します。無料です。
 まずTuneIn Radio」をApp Storeでから入手します。これは国内だけでなく海外のラジオが聴けるサービスで、おそらく世界で最も普及しているものです。TuneIn Radioのサービスそのものはパソコンのブラウザからも利用できます。
 ここからアプリで画面下側からお気に入りをダブルタップして、「カスタムURLを追加」をダブルタップ。次を入力します。[mms://jbs-stream.ddo.jp/jbs]/。間違いなく打ち込めていれば、検索すると放送が聴けます。一番最初は音が出てもすぐ途切れてしまうかもしれませんけど、PLAYボタンを探してタップしてみてください。成功したならすぐお気に入り登録することを、お忘れなく。次回からは画面下のお気に入りタブをダブルタップして、カスタムストリームをダブルタップすると10秒近くはかかりますが自動的に再生されてきます。放送が流れているのを確認できたならロックボタンを押してから「アレクサ スマートフォンと接続」でアマゾンエコーへ音源を渡します。
 (追記)“Tunein radio”のアプリがバージョンアップし、ログインを要求するようになりました。Tuneinへメールアドレスを登録する形でもできますが、フェイスブックGoogleアカウントと連携させる方法もあります。どちらかやりやすい方法でかまわないと思うのですけど、ログインしておかないとせっかく登録したカスタムURLが継続的に使用できません。ログインしておくことを、おすすめします。

ラジコは今までエリア外の放送はポッドキャストということにしていたのですけど、有線放送を解約したので必要経費が浮いた分からプレミアム会員にすると、やっぱり番組そのものを聞いた方がより情報が得られると感じています。そしてCBCつボイノリオ大先生の番組を毎朝聞くようになってしまいました(笑)。使い始めると全国の放送が聞けるというのは本当に便利で、「どうしてもっと早くから活用してこなかったのだろう」と不思議に感じているくらいです。3つのデバイスまで同時ログインできますから、アマゾンエコーとiPhoneはどちらも聴取可能にさせています。
 アレクサが頻繁にバージョンアップしているので昨日までの話し方が突然通じなくなったりなど時々驚かせてくれますけど、音質の劇的な向上も含めて鍼灸院のBGM環境はしっかり変化しました。慣れてからはベッドサイドからでもアマゾンエコーへ指示を出して各種調整をするようになりましたし、「ザ・ベストテン」を見ていた世代にはたまらない少し懐かしいアーティストの楽曲盛りだくさんで大満足をしています。

追記
 アマゾンのプライム会員は配送料の無料とプライムビデオの利用を最初の目的にしていたのですけど、奥さんが撮影したiPhoneの写真をすべてバックアップすることに加えてアマゾンエコーでのミュージックの活用ですから、会費は十分に回収できているといえます。最近は自分だけのプレイリストが作成できるので、ランニングマシンで走っているときにiPhoneでのアマゾンミュージックから片耳のブルートゥースイヤホンへ飛ばして音楽を聴きながらということもすっかり定着しました。さらにさらにアマゾンのクレジットカードへ切り替えてETCカードも変えてアップルペイへ登録しましたから、アマゾン以外での買い物をしてもポイントが蓄積するようになっています。アップルとアマゾンの世界へ取り込まれてしまっているわけですが、悪くはないです。