『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

院長ブログを開始します

 2008年に入り、『院長ブログ』を開始することにしました。
 これはにき鍼灸院のホームページとの連動になります。

 諸事情があって二本目のブログとなることもあり、鍼灸院や鍼灸にほぼ的を絞っての記述のため不定期の更新となるでしょう。
 さらに、慣れているので「ハテナ」のサービスから記述開始となりましたがホームページ内部に取り込むかなど、今後アドレスの変更があるかも知れません。
 そんな中ですけど、とりあえず鍼灸に関する情報や考えについて、やや硬派に備忘録も兼ねて時間の許す限り記述できればと思います。

 さて初回ですからやや長文にはなりますけど、まず今年一番の目標は「第十五回漢方鍼医会夏期学術研修会」が滋賀漢方鍼医会の担当で開催することになっており、実行委員長を務めているのでこれを成功させることです。
 昨年の第十四回大会から副実行委員長として参画しているため流れはかなり把握できており、特にソフトウェアについては二年計画で舵を切っていくことに元々なっていたのでその骨子は既に出来上がっており今年は「指導マニュアル」が改訂だけで済むため、マンパワーの不足している状態でも事務作業を軽減することができるので何とかなりそうな手応えになっています。
 特に私が視覚障害者であるため、事務作業の会計面は最初から分離して助手に担当してもらうことにはしていたのですけど要録作成も分離して作業がしてもらえるようになったので、実務に集中できる環境は本当にみんなに感謝です。

 夏期研の内容についてはネタを小出しにしていくため、今日は割愛しておきますが偶発的な経過だったとはいえリゾートホテルを使用することになっていますので、経験したことのないリッチな合宿研修になることは間違いありません。
 宿泊なしプランは一応設定してありますが、宿泊しないのは絶対に損です。
 下見と打ち合わせに訪問しただけの数時間でしたが、それだけでもリッチで大満足のホテルだったのですから。

 さて初回ですから、少々辛口のコメントも書いておきます。
 二日前に今年初めての滋賀漢方鍼医会の例会があったのですけど、オープン例会の反省会から学生の質問があり、もう一度まとめてもらって情報共有のために公開の形で回答をしました。ほとんどの回答は私が喋ったのですけど、小林先生にもまとめてもらいました。
 その質問の中で特に気になったのが、「実技の中で垣間見られる診察テクニックや診断のポイントをマニュアル化して欲しい」との要望です。
 ブログ上で書いているとまともな質問に読めますけど、実際の言葉は手の動かし方や当て方からペーパーのレベルにまとめて欲しいという内容でした。

 確かにホームページでは動画が主流になってきていることもあってビデオを交えての解説ページを作成してはいますけど、ポイントを広く伝えるための手段であって実技を自分で行うには実技を習わなければ絶対になりません。
 鍼灸免許が国家試験となって実技が廃止されて久しいのですが、さらに規制緩和ということで制限されてきた養成学校が乱立して希望者は全員入学できるようになると、当然ながら全体のレベルは下がります。
 医療なのですから当然それなりの学習レベルは必要なのですが、それよりも何のために鍼灸を・医療を施すのかを考えて行動する力が必要であり、人へ奉仕するという心が必要なのです。
 これが希望者が全員そのまま入学できるとなると、介護保険コムスンの問題が発生したように儲け主義が目立つようになるでしょうし、患者不在の制度と考えが進んでしまうでしょうし、何より「鍼灸師は技術職である」ことを意識しない学生が増えて希望に燃えていた人もよほど信念が強くなければ流されて普通の人に成り下がってしまいます。

 研修会に参加している学生諸君はこの問題点に気付いている人たちではありますけど、やはり周囲に流されて問題の捉え方にややズレがでてきていると感じました。
 研修会なのに「教えてもらう」ことが前提になっていて「自分でどうやって吸収していくか」という問題意識を持たずに参加しているように見えますし、実技をまずペーパーレベルで納得しようとしているのではないかと疑いたくなります。

 実技は横で見られていても減るものではありませんし、欲しい時には自分で盗むものです。それよりも教えてもらおうと考えているうちは、いくら親切に手を取ってもらっていても身に付きません。
 どうか、鍼灸術を身につけたければ・鍼灸の未来を考えるのであれば、自分でどうやって吸収していくかを考えながら実技に参加してください。
 そのような鍼灸師だけが、これからは生き残っていきます。