初回は気合いが入りすぎたようで、一本目のプライベートブログの癖もあって本当に長文を書いてしまいました。
しかし、医療の話であるからこれからも熱が入ると長文になる可能性は大いにあるでしょう。
というよりも、不定期の更新であるからには気合いの入った話題が思いついた時であり、長文の方が多くなるに違いありません。どうか、ご容赦ください。
余計なことを書いているとますます文章ばかりが長くなるので本文に入りますが、『医道の日本』誌はかつて多くの投稿をしてきたのですがある原稿の編集に関して添削原稿に「この表現だけは使わないで欲しい」と編集者に要望しておいたのに、他の部分と合わせて最終調整はお任せとしたならその要望部分が無視されていたのでそれ以後は投稿はしなくなってしまいました。
いや、一度だけ編集者を指定してていしんを用いての刺鍼をしない鍼灸術に関する投稿をしたのですけど、見事に無視されてしまいましたね(この原稿はていしんの臨床実践としてホームページに掲載してあります)。
しかし、「あはきワールド」でタイムリーな話題と伝統鍼灸関連の情報は手に入るようになったとはいえ、デイジー版が手に入るようになってから再び業界の動きを知るという点でできる限り断片的でも聞くようには心がけています。
それで録音版はカセットテープでも一ヶ月遅れになるのですがデイジーだとさらに二ヶ月遅れとなるので、現在は十月号を聞いている最中です。
巻頭特集は「よかれ悪しかれ大量排出時代」ということで、養成学校が乱立するようになり鍼灸師免許の取得者がそれまでの五倍毎年排出されるようになっての業界状勢や今後についての特集です。
完全なる私個人としての立場であれば、数が多くなればそれだけ才能ある人材も含まれているということであり経絡治療というマイナーな分野に目が向けられるケースも多くなるので決して悪くはないと考えています。
しかし、全体の動きとしては初回でも言及したように、よほど信念の強い人でないと周囲に流されて普通のライセンスマニアの中に埋没しかねません。
研修会への参加状況を見ても、あまり歓迎できないのが現状のようです。
そこに「医道の日本」としては珍しく私の希望を叶えるがごとく、同じく大量排出によって苦しんでいる歯科医についてのレポートが掲載されていたので、ここは本当に耳を立てて聞き入ってしまったのです。
歯科医の場合には虫歯を減らして老人でも自分の歯を残せるようにとの国策から学校が増設され、1980年辺りまでは待合室に患者が詰め込まれて待っていた状態が開業者の増加により患者は分散し、歯磨き指導も行き渡って虫歯そのものが減少したのでますます患者は分散し、平均した歯科医の収入はサラリーマンと大差ないレベルにまで落ち込んでおり、廃業をしているところさえ珍しくないとのことです。
「歯医者は儲る」というのは既に過去の幻想であり、それでも歯科医は毎年過剰に排出され続けているのです。
さてここから鍼灸業界との比較や今後について私の考える話になるのですけど、歯医者の全てが暇になってしまったかといえば否であり大盛況の場所は今でもあります。
「インプラント」や「小児歯科」「美容歯科」など専門性を強調した場所が多くなっていますけど、このような場所が流行っているのではなく癰は腕と対応の問題に思えます。
歯医者も鍼灸師も外科医的な要素、つまり指先が動いて物理的なオペレートができるかという要素があるのですから、気持ちや気合いだけで全うできる職業ではなく最初から技術屋の素養を意識して目指さないと患者さんにとって中途半端な施術に終わるという悲劇だけでなく、施術側にとっても中途半端でむなしい人生になってしまいます。
そういう意味では、大量排出時代は悪しき方向へ向かってしまったと言わざるを得ないのでしょう。
さらに具合の悪いことは資格取得はしたけど臨床現場には不向きということで教職に回ってくる人が多くなってしまったということであり、純粋に教壇で更新育成に情熱を傾けたい人が埋没してしまったことです。
では、この悪循環を断ち切るにはどうすればいいのでしょうか?
今のところ名案は私にもありません。不適切な人は早く医療から去ってもらって、学生には問題意識をしっかり持って学習してもらうことでしょう。患者さんには、しっかり勉強を続けている施術者以外には通わない見る目を養ってもらうことです。行政としては免許の更新制を導入し、更新条件には研修を義務づけることです。
テレビを中心とするマスコミで経絡治療のことを、特にていしんによる刺鍼を必要としない鍼灸術について広く宣伝したい気持ちはあるのですが、にわか偽経絡治療家や偽ていしん治療家が出現してくることでしょうし勉強したい人に対する指導者が足りませんし、技術なのですから臨床豆乳までに時間が掛かるため大混乱になること間違いないので宣伝ができないのです。それにテレビという媒体そのものがうそつきですし・・・。
最終的には「技術屋の素養も兼ね備えた人格者が医療人となるべし」という公式が世間で定着しないと患者側も医療側も依存心から脱出はできないと思われます。
せめて国会で「患者は依存心ばかり持つな!」と総理大臣が一喝でもしてくれれば、医療現場だけでなく国家予算まで大いに助かるところとなるはずなのですけど。