『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

息子の小児鍼から

 初回から三回は哲学のような内容で長文になってしまいましたから、今回はガラッと変えて私の息子の病気から小児鍼について書いてみます。

 長男となる息子は2007年4月29日に治療室二回の和室で自宅出産で誕生しましたから、間もなく九ヶ月になるところです。
 生後三ヶ月までは乳吐きをしましたけどこれは当たり前の話で、その後は数ヶ月に渡って大便の回数が新生児並みに多かったという以外は特に体調を崩したこともなく、秋以降に抱いていないと眠らないというのも単に布団の厚みが足りなくて寒かっただけの話で健康優良児です。体重も標準範囲内ではありますが、重たい方です。
 その息子が先週の後半に入って、思い当たる原因がないのに発熱状態となってしまいました。
 周囲には突発性発疹の子供がいたので、上の長女の時の症状とも酷似していますから突発性発疹で間違いないだろうと診断は即決しました。

 おかしいと感じた朝には小児鍼をすぐ施したのが功を奏したのでしょうか高熱にはならず、夜も比較的眠って明くる日はさすがにベビースイミングを休みましたけど、昼間の半分以上を眠っていて熱症状は回復しました。
 三日目は調子をほとんど戻していたのですがどうしても出なければならない買い物があり、その後は疲れがでたのか発熱はないもののまた少し具合が悪そうです。
 四日目はどうしても兄弟がいると気になって一緒に遊びたくなるものですから、休日だったので長女を連れだして午前中は母親と留守番をさせていると熟睡となり、離乳食はまだそれほど本格化させていないのですがお腹が空いていたようでえいせいぼうろをどんどん食べて機嫌回復です。
 この夜ですが、三日間お風呂を我慢させていたので思い切り身体が温まるように入れると気持ちよかったようで、心配していた発疹の悪化も発生せず、五日目の今日は完全復活したようで元気にハイハイし発疹もほぼ消失していました。

 突発性発疹はウィルス感染によるもので、二歳までの幼児のほとんどが罹患するとあります。ウィルスには種類があるので一度罹患すると二度と発病しないと信じられていますが、時には複数回の発生もあるようです。三日麻疹とは罹患する年齢が大きく異なっていますしウィルスも異なっているのですが、経過も症状も酷似しているのでこのあたりはもう少し調べたいと思います。

 さて突発性発疹鍼灸の関連についてですが、これは娘の時も息子の時も明らかに小児鍼をしていたことで症状が軽く済んでいます。なんといっても発熱期間を大幅に短縮できましたし、発熱に伴う合併症の危険性を回避できたことは親として安心感につながりました。

 解熱をさせる施術ですが、これは赤白肉の間の刺激をすることです。
 つまり、指を広げて水かきの部分を刺激することであり、通常は左右の手の水かきだけで十分ですが高熱であれば足の指の間でも行うと効果が倍増します。

 加えて本治法の効果は、小児でもやはり絶大です。
 夏に息子が大便が出ずに苦しくて大汗をかきながら泣き叫んでいた時は肝虚で治療するとたちまち解熱して明くる朝にどっさり出せましたし、娘の風邪を肺虚証の火穴で治療して解熱させることもできました。これは水かきの施術をしても解熱が不充分であった時、本治法の後に加えたなら著効があったという意味です。

 接触鍼の代表は小児鍼であり、小児鍼ができれば親戚を含めた家族全体が鍼灸術を受けるようになるので営業的にもとても素晴らしいもので、子供の笑顔は親だけでなく施術者にとっても魔法の妙薬となってくれます。

 小児鍼は決して複雑な手法を必要とせず伝授しやすい技術でもあるはずなのですが、どうしたことか学校では教えていないようですし学ぼうとする鍼灸師もあまりいないようです。これは国民の健康を守る上で、大きな損失となっています。
 突発性発疹程度で長時間病院で待つことになり、高い施術量を支払っているのに著効ある薬もないのですから、酷評すれば健康保険の無駄遣いです。しかも親の労力は何も減っていません。

 うちの治療室では新規の子供がかなり多いのですけど、小児鍼をもっともっと広げる努力を鍼灸業界は行うべきであり、世間の親たちも西洋医学一辺倒ではなく小児鍼の効果についても認識して欲しいものです。