『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

自作パンフレットの話(その4)、パソコンでの製作ノウハウ

 長らく放置してきた自作パンフレットを、ワープロ専用機でなくパソコンで製作できるノウハウを開拓できたという単純な感動だったものを、長々と引っ張ってきてしまいました。
 四回目にして、ようやくノウハウの公開です。といっても、大それた発見をしたものではありませんから、ご容赦ください。
 それよりも、パンフレット執筆時に心がけていることを記述しますので、その方にご注目ください。

 まず自作パンフレットを作成しようとしたきっかけですが、これは自作パンフレットの話(その1)、「そのフォントは私が打ち込んだもの」でも触れているように、それまで難しかった日本語の活字文章が手軽にしかもオールインワンのワープロ専用機でプリントアウトまでできるようになったことから、自治会の案内からPTAの文章から様々な資料までワープロで打ち込まれた活字で配布されるようになり、鍼灸の世界でも研修会の資料だけでなく治療室での配付資料を活字にすれば見栄えがよく読んでもらいやすいという時代の流れにあったからです。つまりパンフレットを自作して、どこでも配布を始めていた時代だったということです。
 一つだけ当院で違っていたことは、今でこそ病名やその症状に対する説明を個別にさせてもらう時間の余裕がないために疾患別のパンフレットが製作してありますけど、病名や疾患別の宣伝目的ではパンフレットを製作してこなかったことでしょう。東洋思想の教育と書けば大げさすぎますが、西洋科学を基準とする考え方ではアプローチにエラーが生じてくることや核家族ゆえに伝わらなくなってしまった生活の知恵などについてのパンフレットばかり執筆していました。

 それでパンフレットを実際に打ち込み初めてから気付いたことなのですが、B5で2ページという制約の中で起承転結を完成させねばならず、しかも題字は大きくして鍼灸院の名称や住所も署名しなければならないとなれば本文エリアは意外と狭く、そこに読みやすいようにセクション区切りも入れるのですから下書きをしてから打ち込み作業をしても逆に無理があるということでした。
 最初の数枚は短い本文を下書きしてからレイアウトを整えたのですけど、これは隙間の方がありすぎて逆に不細工ですし内容も薄いものになってしまいました。それで行き当たりばったりではありませんけど、量は調整しながらも実際に本文を打ち込んで題字や書名も沿えてからレイアウトチェックに入り、制約のページ内に治まるように本文の贅肉をそぎ落とす形で凝縮したパンフレットとするようにしたのです。
 この時に活躍してくれたのがワープロ専用機ゆえの柔軟な印刷機能で、印刷段階になってから1ページあたりの行数を変更することができたり、もっと凄いことには特定の行だけ文字数の変更ができたのでレイアウトを無理矢理紙面へ押し込めるという必殺奥義を駆使しているものがあるのです。このようなレイアウト調整は反則技の領域なのでしょうけど、できたのだから仕方がない。それでパンフレットとして患者教育に役立ってきたのですし、知識を得られた人がいるのですから偉大な機能だったと今でも思います。

 さて、このようにして「あとからどうにでもできるさ」という感覚を武器に執筆してきた自作パンフレットですから、DTPソフトという別分野があるのでパソコンのワープロソフトであれば禁則処理もきっちりしていてこちらの都合でレイアウトを押し込んでくれるようなことはやってくれないだろうと決め込んでいました。いや、一太郎についてはワープろ専用機と変わりない感覚で操作できることを「売り」にしているのでレイアウトをこちらの都合に合わせてくれるようなことも聞いたのですけど、残念ながらスクリーンリーダーに対応しているワープロソフトは、強引な売買手法ながらも一番普及しているマイクロソフトワードです。
 それにワープロ専用機のフォントは太く、印字も濃いので読みやすいという印象があったのですけどパソコンのフォントはギザギザがない分だけ綺麗でも細くて薄いという印象がありましたので、視力の弱ってきているお年寄りに優しい印刷物になるのかという心配もあったことから「パンフレットはワープロ専用機で」と心に決めていたのでありました。

 ところが、どうしても自作パンフレットの中で既にホームページ上では公開していましたし必要に応じて個別にプリントアウトしていた「耳鳴りと頭鳴りの話」だったのですが、外部から一番問い合わせの多いパンフレットであり来院される患者さんに何度説明しても耳からだけでは理解してもらえないということで、大切に格納してあったワープロ専用機を引っ張り出して助手に打ち込み作業をしてもらったなら、日本語変換の効率の悪さにもビックリされましたけどそれ以上にレイアウトをあとから調節するという行程が理解してもらえずに何日もそこだけで時間を費やすことになってしまったのです。
 助手は数年で入れ替わっていきますから、今回はたまたまある程度パソコンの操作に習熟した助手だったのでワープロ専用機にも対応できたものの、それでもワープロ専用機の操作手順は大幅に違いますから記憶の片隅から操作を思い出してあれこれ指示を繰り返しての悪戦苦闘となりました。それで自力でパソコンからパンフレットを追加発行できるノウハウを研究するように迫られたのであります。

 まずマイクロソフトワードで困ることは、初期状態でオートコレクト機能が有効になっていることです。つまり、エンターキーを押して改行をしたなら自動的に通し番号が付けられたり中点が配置されて見やすいとか、字下げが一文字してあるように画面上では見えますし印刷してもそうなるのですが、これはマイクロソフトワード内だけの話でテキストデータを抽出して他でも活用しようとしたなら字下げがされていないなどで困ったことになります。
 これを防ぐために執筆段階ではテキストエディタを用い、レイアウトを加工しやすいプレーンテキストをマイクロソフトワードへコピーと貼り付けで渡していきます。もちろん打ち込みがある程度進めば、こまめに上書き保存を繰り返します。これでオートコレクト機能は、気にせずに済みます。
 次にフォントですが、様々なフォントが最近のパソコンにはインストールされているものですから、その中唐子のみのサイズのものが選べますのでこれもクリアです。一部に特殊文字がありますけど、ここだけ対応しているフォントへ指定し直すことだけ注意しておけばいいでしょう。文字の大きさや網掛けやアンダーラインの修飾も、あとから音声で確認することはなかなか難しいのですけど修飾を掛けること自体はそれほど難しくないので、これもレイアウトが決定してから行えば問題なしです。
 問題は文章量であり、どうしても中身の濃いものにしたいですし紙面は限られているということでワープロ専用機のようにあとから行数の調節ができればいいのですけど、どうもそのような概念がありません。よくページレイアウトを調べていると、多分ですが原稿用紙のような書き方をするための設定なのでしょうけど文字数と行数を固定する設定がありました。それで用紙サイズは変更せずに行数を変更してみると、ある程度は標準から増やせることが分かったので少し気が楽になりましたけど、数値を増やすと文字が重なってしまうので本質的な問題解決にはなりません。さらに調べていると上下左右の余白が自由に設定できるようになっていて、パソコンの場合には相当に余白を設定してあるケースが多いものですからここの数値を減らしてみると不思議なくらいにレイアウトが治まるようになってしまいました。
 この時にですが、文字数は変更せずに行数だけ指定するという設定の方が全体を納めやすくレイアウトも綺麗になるようです。

 かなり強引な方法ではありますが、内容優先でレイアウトを追随させるという自作パンフレットの製作方針を維持できるノウハウが確立でき、嬉しくなって第二弾も既に発行しているくらいです。
 仕事のスタイルが初期状態に戻った気分であり、とても楽しい最近なのであります。