『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

国家を救う大提案(改訂一版)

 映画『2001年宇宙の旅』に代表されるように「夢の21世紀」と語られ続けてきた2000年代も幕を開けて10年が経過し、間もなく2010年となります。「2009年今年の重大ニュース」をこのブログでも振り返ろうというわけではないのですけど、2009年の日本において一番大きな変化はやっぱり自民党から民主党政権交代したことでしょう。
 しかし、鍼灸業界としては政権交代しても未だ何も変わっておらず、世間一般としてもデフレが進行し不況感がますます深刻化しているだけで、生活面での変化を感じている人はほとんどいないでしょうね。
 これは半世紀にも及ぶ自民党の政権独占による「箱もの行政」を中核とする癒着体質があり、それらによって実際に社会が動いてきましたし収入を得ている人がいるのですけど、それにしても来年度予算の見通しが暗いですね。陸上自衛隊の段階的廃止に伴う防衛費の大幅削除くらい、景気刺激の起爆剤として宣言してもよさそうなんですけどね。

 それで題名に書いたように「国家を救う大提案」へと話を進めます。まず民主党政権交代のために掲げたマニフェストなのですけど、これは今までに政権交代がなされていなかったということで「ごめんねごめんねぇ大風呂敷を広げちゃって」と、あっさりと謝って一部は撤回することです。既にガソリンの暫定税率を廃止すると大風呂敷広げていたのに、名前のすげ替えで公約違反するのですからなんてことない話のはずです。
 八ッ場ダムをはじめとする無駄な公共工事の途中廃止や行政刷新会議の創設などいい麺も確かにあるのですけど、高速道路無料化と子ども手当て創設の二つは国民の反対意見が多数なのですから即時撤回でしょう。高速道路の無料化は春から実施された休日の1000円均一料金で何が発生したかを見れば、CO2増加も含めて、恩恵を受ける人が一部なのですから不公平です。
 子ども手当てについては代わりに扶養控除の廃止で調整したなら、高校の授業無料かをしたとしても実質は負担が大きくなり大学へはサラリーマンでは行かせられなくなる、それに成人が病気で働けないケースでは医療費とのダブルパンチで破産するしかないという指摘が相次ぎました。それで大学生の特別扶養控除と十六歳以上の扶養控除が残ることとなり小さな子どもの世帯では収入が増えることとはなりました。けれどその財源は結局は国債でまかなうのですから、借金をその子どもたちに背負わせているだけです。現金のバラ巻きだけで少子化が解消されるなどと、そんなバカな話はあり得ません。また子ども手当てで学資保険をまかなうという考えを全ての世帯でするとも思えませんし、将来廃止でもされようものなら生活設計が大幅に狂う家庭が続出するので、危険きわまりない施策です。

 その他にも細かなところでは色々とあるのですけど、それでは本題に進まないので核心へ一気にワープさせます。1989年に開催された東洋はり医学会30周年の記念講演において、会長の福島弘道先生が次のように話されていました。
 フランスでのアルシュサミットでは東西問題が語られ国内では消費税問題が語られているのだが、これを一気に解決する名案がある。それは鍼灸を、鍼灸といっても経絡治療を全面的にバックアップすることである。無駄な検査や不良手術が続出する肥大化した西洋医学は戦争には便利でも、人類の健康を守るという意味では生命を維持させているだけであって本当に救っているとはいえない。これに対して経絡治療は未病を防ぐことができ、肥大化したシステムではなくシンプルでありながらも東洋医学の神疲であり生命を維持するのではなく救う医療である。
 これに加えてジャーナリストの著書から、医療費が国家予算の50%を越えるようであれば日本においては50兆円を超えるなら、その国は滅亡することを引用されて経絡治療にシフトすれば医療費問題までもが解決すると語られていました。

 しかし、消費税は3%から5%へと引き上げられ、医療費は30兆円が分岐点といわれていたのに今や35兆円が目前となっています。「国債を何とか44兆円までに抑えたい」と過去のしがらみとマニフェストとの間で四苦八苦している現在の政権でさえ悲痛な叫びをあげているのに、医療費がこの金額ですよ。まぁ国債自民党政権でさえ33兆円だったのに44兆円も発行するとは、政治家の頭の治療を優先すべきかもですけど。
 そこで福島弘道先生の公園を引き継ぎ、現代版の国家を救う大提案です。

 まず健康保険の加入料を大幅に引き下げ、最近問題になってきた未加入世帯をなくします。ここは民主党マニフェスト通り、税金と保険料の一体徴収制度とすればいいでしょうし、いっそのこと国民健康保険のみとした方が事務の簡素化だけでなく不公平感もなくなります。その分だけ法人税は引き上げとなりますけどね。
 これの見返りとして患者の窓口負担額を現在の三割から六割へと倍増させます。「そんなことをしたなら誰も病院へ行けなくなる」といわれそうですけど、そこは自動車損害保険のように民間保険で個人的に補ってもらえばいいのです。そのような制度になれば私だって、絶対に民間保険へも加入するでしょう。
 健康保険を民間のものでも補うというのはアメリカには既に存在している制度ですけど、アメリカの場合には国民皆保険が整備されていないので連邦政府が四苦八苦しているところですが日本では整備済みなので、実現されれば全く違った意味合いの保健医療となるはずです。ちなみに自賠責に未加入という無責任なドライバーが増えていますけど、医療保険の場合には自分の身体に降りかかってくることなので自己責任ですよね。生存権を盾にされるかもですが、その時には生存できる範囲だけに留めればいいのです。

 つまり、民間保険で補填すれば窓口負担額そのものは今までと大差ないか安くなります。しかし、民間保険ですから通院回数が多いと保険料も連動して上昇してしまいますから、そうなれば「コンビニ受診」といわれるような、何でも病院へ行こうという行動は抑制されます。救急車をタクシー代わりにする人も大幅に減るでしょう。
 また民間保険だとレセプトのオンライン請求が求められるでしょうから医療の電子化が一気に進むでしょう。それに伴い湿布やビタミン剤など「なんでそんなものが必要やねん」というものには説明が求められて、説明できないものは不支給となるでしょうから出したい放題の現象にも歯止めが掛かります。また「念のために」という魔法の言葉で受けることを強要されてきた毎度毎度の検査も、結果が見えている不要なものは患者側から拒否されることでしょう。担当医を吟味する目も厳しくなります。
 これで医療費はスリムとなり、絶対数が少ないので待ち時間も少なくなって医者不足という現象にも歯止めが掛かるので患者にも医療者にも一石二鳥です。
 「医者が倒産してしまう!」なんて心配無用です。だって、我々鍼灸師のほとんどは健康保険の恩恵を受けていませんし、、その証拠として私が保険診療でない鍼灸院を二十年以上営んでいて、助手を二人もおいているのです。求められているのは「治る」という事実なのです。健康保険の手厚い恩恵がなくなったくらいでつぶれるような医院があったなら、「治る」という事実を実現していなかったということで、つぶれた側の方が悪いのではないですか?

 これで核心は終わりです。けれど日本全体の人口は減少しますます老人が増えるのですから、スリムになった分を介護保険に回すことも忘れては成らないでしょう。それから子どもを増やすのであれば子ども手当てを創設するのではなく、まずは保育所を大幅に作るべきです。これによって女性の働ける環境を増やさねば景気は回復しませんし前述の介護保険が維持できませんし、すぐ目の前に来ている独身のまま老人となる人が爆発的に増える時代には子どもと老人を同時に居住させるスペースが絶対に必要です。これは投資なのですから、今すぐやらねば成りません。
 それから他人のことばかりでなく、鍼灸師こそ常に研修会に参加して伝統ある技術に磨きを掛け、「治る」という事実を積み上げておかねばなりません。一人で研究していてもそれはマニアの世界であり、悪くすれば患者不在の趣味の世界となってしまいます。まずは多少遠くであろうが金額が必要であっても、自分で足を運んで研修会に参加することです。お金も時間も費やした分を自分でもって帰れば結果はプラスとなるのですから、出してもいないうちから「入ってこない」「流行らない」などと文句を言ってはいけません。

追記
 このブログエントリーは、2009年12月17日に初版がアップされ、その改訂一版になります。12月24日に、政府方針が固まりつつあることから合わなくなっている表現を修正してあります。予算案や法律などが完全に固まったなら、エントリーそのものをやり直す予定です。