『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

第十七回夏期研を終えて、託児をお願いしました

遊具に乗って笑顔の隆成

 2010年8月29日/30日に、第十七回漢方鍼医会夏期学術研修会名古屋大会が開催され、大盛況のうちに無事終了しました。第一回から欠かさず参加しており、また既に講師陣としての参加の方が多くなっているのですが毎回学ぶことがあり、今年はあまりの猛暑に「名古屋の蒸し暑さは特有だから嫌だなぁ」とさえ直前には思っていたのですけど終わってみれば腹診で大きな収穫があり、参加して本当に良かったという充実感で満たされています。
 その腹診のことについてはまだ臨床室の中で整理しながら追試中なので次回以降に後回しにするとして、今回は表面的にはそれほど目立っていませんでしたけど夏期研史上初の託児が実施されたことについて書きたいと思います。

 毎年何らかの形で準備段階から関わっている夏期研ですけど、特に深く関わったのが第十三回で二年後の滋賀大会を受諾した時からでした。そして第十四回では副実行委員長として運営に携わりました。「学術面で打ち出したいものは二年計画でやればいい」という実行委員長の言葉から指導マニュアルを執筆し、それまでの漢方鍼医会では証決定が出来たなら確認はするのですけど、いきなり選穴した経穴に指を触れるという大胆というのか今から思えば粗雑な進め方をする面がありましたので、まずは該当する経穴付近を警察し脉診だけでなく腹診や肩上部の「三点セット」全てが改善されていることを確認するように打ち出しました。
 続く第十五回は滋賀大会であり、実行委員長を務めさせて頂きました。ホームページの第15回漢方鍼医会夏期学術研修会滋賀大会の報告で詳しく報告していますが、腹部を用いて「衛気・営気の臨床的手法修練」が取り入れられ、菽法脉診と合わせて、鍼灸術を語る上で壁となっていた客観的評価の壁を打ち破る第一歩になったと自負しています。
 大きな仕事が終えられて安心していた第十六回なのですけど、開催まで三ヶ月を切っているというのに準備でトラブルが発生し、講師陣全員でスクランブル活動となった苦い思い出となってしまいました。その甲斐あって実技シンポジウムも成功し、最終的には好評化へとつながりましたけど。これも詳しくは第16回漢方鍼医会夏季学術研修会を終えてで詳述しています。
 そして第十七回は名古屋漢方鍼医会主催ということで、地方組織の中でも一番の規模である名古屋ですからお任せ状態で近年では一番楽をさせてもらいましたね。嬉しかったのは第十五回で打ち出した証決定がそのままテーマの中核に据えられたことであり、「衛気・営気の臨床的手法修練」もすっかり定番になってきたことです。またここに来て治療法に関して整理していこうという動きになり、「私の場合には・・・」という自己流が集まって品評会をするような会ではないことを改めて確認したことも大きかったと思います。規模や運営面やアイデアでは滋賀大会も負けていなかったと思うのですが、全体の流れのスムーズさにおいては脱帽ものでしたね。それから宴会での余興も、プロも招いての生演奏には脱帽ものでしたね。

 さて託児のことなのですけど、滋賀大会から本当は取り組みたかったことでした。しかし、実現させようとしても土台がなければ足場の組みようがありません。そこで嫁さんには運営面を手伝ってもらう付き添いという形にして子連れで大会参加してもらい、小さな子供が大会の中に入るということが癒しになることを自然に浸透させる土台作りからとしました。大会が始まってから分かった話なのですけどホテル自体が託児システムを有していたということでリゾートホテルだったので金額的にかなり難しい面はあったものの、強行突破が可能であったことを知った時には悔しかったですね。
 この流れを受けて本部例会ならびに第十六回では「託児システムを用意する」と高らかに宣言してもらいました。利用者第一号の名乗りを早速出したかったのですけど、次男の出産時期と夏期研の期日があまりに近くて断念。結局のところ、他の利用希望者も現れませんでした。
 そして今年の第十七回だったのですが、基調講義が「女性鍼灸師から見た漢方はり治療」とあったように、入門・要請コースの参加者へフォーカスすると同時に女性鍼灸師へもフォーカスしていたということで、実行委員会も最初から託児は用意するつもりだったのでこちらも申し込みやすい状態からのスタートでした。
 昨年度はうちも含めて漢方鍼医会では出産ラッシュであり、まだ子供が小さいケースも多いということで何組かの参加を期待していたのですけど、蓋を開けてみれば利用したのは私たちだけでしたね。滋賀漢方鍼医会で正式スタートさせた託児システムをメーリングリストで伝えてアピールもしたのですけど残念。まぁ誰かが口火を切らないと・最初を突破しないとシステムは変わっていかないので、仕方なかったのかも知れませんけど。

 それで実際の託児ですが、今回は名古屋の業者を手配していただき幸いにも会場であるホテルでの派遣ベビーシッターも経験があるという業者で、しかもホテルの協力で託児時間中は宿泊する部屋を開放していただけたので別料金で託児用の部屋を確保する必要がありませんでした。開会式の前にロビーでベビーシッターさんと合流し、部屋の鍵を実行委員会から受け取って私たちが宿泊する部屋へ一緒に移動しました。食料や飲料を渡しながら引継事項をベビーシッターさんに伝え、今までは姉や兄と必ず一緒だったのですが今回初めて一人での託児となる次男ですから大泣きされては大変とボールで機嫌良く遊んでいる間に部屋を抜け出させてもらったのでありました。
 一日目の研修が終了してどれだけ大変だったろうかと思いつつ部屋へ戻ってみると、さすがは三人目というのか全く泣くこともなく一日中平気で機嫌良く遊んでいただけでなく、ホテルの外へも散歩に出かけたり昼寝をしたりなどしていたとのことでした。その後は懇親会の中へも入れてもらい、余興のダンスや生演奏では音楽に合わせて全身で踊っていたりしたのでした。二日目は部屋へ直接ベビーシッターさんに来てもらい、研修会終了後まで預かってもらったのですけど、一日目と同様に元気いっぱいで楽しく遊んでいたとのことでした。

 毎月の例会では午前中の座学については録音で後から聞くこともできるということで午後の実技時間にのみ研修会との折半でベビーシッターをお願いしているのですが、夏期研では開会式から閉会式まで座学から休憩時間も含めて全てお願いすることができました。特に休憩時間に色々な情報交換や出店している業者で道具を見たりなど、そんな時間も研修会の重要な要素であると夫婦で行動していて肌で感じました。例会では別の要素がありますので毎月全てのプログラムでの託児は求めませんけど、大きな研修会では全て参加することに意義があると強く思います。そして、今後は託児を利用して参加する会員が増加すれば友強く願います。
 閉会式後の講師と実行委員の反省会に参加し、研修会全体の反省とともに託児のお礼を述べさせて頂くことができました。そうしたなら実行委員長の挨拶の中で、託児を実施するとは言ったものの利用者が一組だけだったので止めようかとも一度は思ったとの話が飛びだしてきました。それをひっくり返してくれたのは実行委員長の奥様で、「漢方鍼医会はなんて遅れているんだ、今時託児を実施していないのは漢方鍼医会くらいでしょう」との一言で託児が実現したそうなのです。懇親会にも二日目にもうちの長女と同学年の娘さんを連れて来場されていたのに、奥様にお礼が言えなかったのが今回の夏期研での心残りになってしまいましたね。

 さて来年以降も夏期研では託児をお願いすることになると思うのですけど、それぞれの実行委員会にはよろしくお願いをします。そして、託児をお願いして夏期研はもちろん研修会に参加し、漢方はり治療を磨き病苦に悩める患者さんを救える女性鍼灸師が一人でも多く臨床現場に立てる将来が近いことを信じています。
 それで写真ですが、託児中には撮影ができなかったので近くの公園に遊びに出た時に遊具に乗って笑っている隆成(次男)です。来年以降も、よろしくお願いいたします。