『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

駐車場で交通事故に遭遇

かなり腫れているのが分かります

 執筆時点からは約一週間前の出来事になるのですけど、2011年9月1日に「にき鍼灸院」の駐車場であわやひき逃げ事故になりそうな交通事故に遭遇してしまいました。自分の鍼灸院敷地内での交通事故というのがちょっと格好悪いですけど、その報告と交通事故に対する今回考えたことについてできるだけ柔らかく報告したいと思います。

 9月1日といえば、二学期が始まる日です。最近は学校の土曜日は休みなので授業時間が足りないことから、必ずしも二学期の開始日ではないようですけど。でも、うちの娘と長男が通う幼稚園は二学期の開始日でした。それで幼稚園バスの時刻表が早い組に当たっていたので、次男を連れて出勤していたのでありました。
 二歳の次男は末っ子なのでちょっと意気地なしですから、実家へ立ち寄ってもすぐ一緒に鍼灸院へ移動したがります。ところが、この日に限って朝からのアイスクリームが嬉しかったからなのか実家にとどまるというので、新聞を受け取って目の前の生活道路から鍼灸院へ向かうのでした。この道路は来院された方はおわかりでしょうけど、すぐ行き止まりになっています。
 目の前を自動車が通り過ぎて行き止まりのところで停車しましたから、仕事に来たくらいに思って道路へ足を踏み出すと、その軽トラックがいきなりスピードを出してバックしてきました。あまりにスピードが出ているので、もし接触でもしたならケガをするかもと自分で駐車場へ逃げるように駆け込みました。でも、自動車は私を狙ったかのようにほぼ直角に駐車場へバックのまま入ってきました。追加で逃げたのですけど、その軽トラックはバックを続けて、私は突き倒されてしまいました。
 そして軽トラックはギアを入れ替えて左へハンドルを切りながら前進をするので、私の右足付近を左後輪が踏んづけるようにして乗り越えていったのです。軽トラックとは行ってもかなりの資材を積んでいましたから、重量はあったはずです。

 そのまま軽トラックは走り去ろうとしますから、私は上半身だけ起こして大声で呼び止めました。突き倒された時に普通なら分かるはずですし、私の足を乗り越えていったのですから車体が揺れているので気付かないはずがありません。運転手は全く周囲を見ていなかったことが明白ですけど、助手席にも人が乗っていたのですから二人が全く気付かなかったなどということはあり得ません。ですから、すぐ停車をしたのでしょう。
 普通は怒りを感じていることを表現している言葉ですけど、「気が立っている」の本当の意味はこういうことを言うのだとおもいますが、私の肉体の目では見えないのに自動車だけでなく人物の動きが把握できて、運転手が顔面糟粕になってこちらへ向かってくるのが分かるのです。人が突き倒されてタイヤが乗り越えていったのに逃げようとするのかと強く迫ったのですけど、全く気が付いていなかったの一点張りでしたけど恐怖感とともに申し訳ない態度は見せてくれました。すぐ自分で診察をして骨折はしていないことを確認し、歩行ができることも確認したなら頭の仲は次男を連れていなくて本当によかったという気持ちになっていました。
 右足首周囲は腫れてきており内出血も確実で、右尺骨付近にも外傷があったのですけど、この程度であれば自分で充分に治療できる範囲だということもすぐ判明したので、思い切り怒鳴りましたからこの交通事故はここまでにしようとも思っていました。住所と名前は一応メモに書いてもらいましたけど、ナンバープレートは控えませんでした。メモを持ってきた助手が二人もいて、二人ともナンバープレートのことに気付いていなかったというのは、問題でしたけどね。

 先にこの事故の結末について書いておきますと、もうこのまま何も連絡なしになってしまうのだろうと思っていましたしそれで構わないとも考えていたのですけど、昼休みにその軽トラックが駐車場へ戻ってきているのです。業者に仕事を依頼してあり聞いていた場所と違っていたので時間に間に合うようにとあの時は急いでいたとのことでしたけど、ずっと仕事をしながらも気になっていて保険には加入しているので軽擦へ届けて事故証明だけ出させて欲しいというのです。あっと、礼儀でのお菓子はいただきました。
 警察はかなり丁寧に説明をしてくれて、証言も食い違っておらず両者が納得しているということで今回は物損事故であり民事での解決ですぐ落ち着きました。右足首が腫れている写真は、撮影されていきましたけどね。

 さて、どうしてこれだけの交通事故なのに軽傷で済んだかなのですけど、これは受け身をすぐに取ったからです。最初は仰向けに転倒したのですけど、軽トラックが動き始めたので「もしかして」と自分で横向けになりました。足首の正面をタイヤが通過していったなら複雑骨折の可能性がありますし、そうなれば手術と入院が必要になります。横向けなら右足首ですから上になっている腓骨が犠牲になるだけですし、悪くても複雑骨折は回避できます。
 と書いていると「そんな判断が一瞬でできるはずがない」といわれるでしょうが、そこは子供の頃から視覚障害者のスポーツで特にボールゲームは全身でブロックすることが基本ですから、動きながら同時に受け身をするのが基本であり身に浸みている行動なので考える前に半分動き始めていました。それからスポーツで鍛えており、体力も柔軟性も年齢以上にあったのも大きかったでしょうね。

 次に骨折の有無を確認する方法ですが、これは一番簡便で確実なのが遠くから打診をして患部が響くかどうかです。響きはありませんでしたし、すぐ足首も動かせて踵を地面に着くこともできました。
 それから治療室に入ってきてすぐ治療をしたのですけど、証は脾虚肝実証です。これは「転落事故は脾虚肝実証になる」と古典にあるように、急激に強い圧迫を受けたことで陽経全体へ熱が侵入してきたことと同じになり、一番深い少陽胆経に入り込んで胆が熱を持つことではまり込んでいる肝まで温まってしまうからです。始業前ですから時間がないので、標治法はそれこそ簡便に済ませてもらいました。それから瀉法鍼も数回のみ行いました。
 昼休みにもう一度本格的な治療をしたのですけど、その時にも証は脾虚肝実証のままでした。標治法をしてもらうと今まで感じたことのなかった臀部の痛みを感じたのですけど、これは急激に全身の力を入れていたためではないかと思われます。足首の腫れも内出血も朝よりもずっと改善しており、逆に処置をしていなかった右尺骨付近の腫れが大きくなっていました。
 明くる日以降は自分で本治法をしているのみなのですけど、すぐにでも水泳をしたいところでしたがあまりに横着なので自粛していたなら台風が接近してきて、泳ぐことができたのは五日目でした。足首の腫れがまだあったのでもう少し動きがスムーズでなかったのですけど、泳いでいるうちに鱗が取れたようにスムーズに動かせるようになりました。今日も泳いできましたけど、足首のことは気にしていませんでしたね。

 この交通事故を振りかえってなのですけど、次男がその場にいなかったことが今でも奇跡に思えます。もし小さな子供の上をタイヤが通過していったなら間違いなく骨折していたでしょうし、運が悪くてお腹の上でも通過されていたなら命が危なかったかも知れません。そのことが頭にありましたから、最初は「子供が交通事故に巻き込まれていたならそんな状況でも逃げていたのか!」と怒りが次々とこみ上げていたのでした。それでも、ふとめが見えているということは逆に社会的に盲目な面を作り出しているのではないかと思うと、そして自分が幼い頃から受け身をすることが身に浸みていた視覚障害者であるために外傷のみで済んだことを思うと、怒りを吐き出すだけ吐いたなら相手の社会人としての立場や生活のことが気になってきました。
 それから交通事故の後遺症についてはプロなのですから、強請やたかりというひどい事例をいくつも知っていますので、「そんなことを自分はしては行けない」とすぐ心が切り替わりました。それに診断書を書いてもらうには病院へ行かねばなりませんから、こちらの仕事もできませんし。

 とにかく外傷のみで済んだということで、交通事故は決して褒められたことではないのですけど、いい経験になりました。それと当たり前のことですけど、「ていしん」での治療でこのような事例の治療に著校があることを自ら証明もできました。
 おっと、それから当日はもちろん色々な場面でこの話題を持ち出しては盛り上がらさせてもらっています。なんでも寝たにしてしまいますから、新作落語を作っているようなものですね。でも、運転手のことは決して水戸黄門にでてくる悪代官のような役者に仕立てていませんよ。