『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

ロボット掃除機を導入してみました、副産物もできました

 今回のにき鍼灸院院長ブログは、治療そのものに関する話題ではないものの仕事の負担をいかに減らして効率化させるかという話題になります。

 2014年の年末で助手が一人卒業をして、新しい年度が始まるまでは常勤の助手が一人ということになりました。午前中は副院長が仕事に入るので助手が二人という計算ができるため、六台のベッドへすべて予約を入れることが可能だったのですけど、午後は時間的な無理もありますし疲れが蓄積しては仕事の「質」が落ちるということで、中間の時間帯は予約に制限を設けていました。まず一つ目の問題は、この予約に制限を設けざるを得ないためにストレスを感じることでした。それから次の助手が決定しておらず、時間ぎりぎりになるまで持ち越しになっていたこともストレスでした。
 もう一つのストレスは、助手の掃除分担を減らすため院長の私が掃除機をすることにしたのですけど、掃除は仕事の基本ですからいやではなく、出勤時間の大幅な引き上げも自宅建築の途中ということもあって苦痛にはなりませんでしたが、掃除機の先端ブラシにくっついてくる綿ゴミを直接見ることになったのがとても苦痛になりました。冬場ですから毛糸のついている衣類を脱着されており、細かな綿埃は治療室全体だと驚くべき量になっています。この綿ゴミを手でブラシから取るのがいやなのではなく、「目の見えない院長の掃除機で本当にきれいにできているのか?」という不安がストレスになってきたのです。
 二年前にもやはり助手が一人だけという時期に四ヶ月ほど掃除機を担当をしたのですが、春から夏なので綿ゴミも少なくベッドも五台でしたから時間的にも手早くできていました。ベッドが六台になってからもクイックルでのモップは担当しているので一台増えただけなのに手間が大きく変わったことは認識していたのですけど、掃除機だともっと大きな手間になっていました。季節的なことが違いますし、そしてあの当時も駐車場の関係からもっと予約を制限していたので人数的なことが大きく違っていますから、綿ゴミの量も大幅に違ってきたのです。綿ゴミが蓄積することは仕方がないので掃除をするのも基本ですが、「掃除がもしきれいにできていなかったなら?」と考えると、とても恐ろしくなってきました。

 そこで思いついたのがロボット掃除機です。世代も進化したので端っこの取り残しも問題にならない程度だと、ネットの掲示板に出ています。私では時間の制約からゆっくりゆっくり掃除機をすることができないのですけど、ロボットならゆっくり何度かずつ掃除をしてくれるはずなので、まずは家電量販店にハンディ掃除機と併せて下見に出かけてみました。
 この時に初めて実物を見たのですけど、値段は予想通りでしたが動きがせわしない。せわしく動かないと掃除が完了しないのでしょうけど、ゆっくり掃除をしてくれるというイメージとは違っていました。まぁこのあたり、勝手なイメージだったのでいいのですけどハンディ掃除機の値段の高さには驚きました。音がうるさいのは小さなモーターで吸引力を落としていないので仕方ありませんし、駆動時間の短さも仕方ないのですけど、その割には値段が高すぎてハンディ掃除機の方はラジオやテレビで紹介されているお得セットの方を購入しようとその場で決意しました(この決断そのものは間違いではなかったと今でも思うのですけど、毎日の掃除となるとハンディ掃除機では無理があることを半年後に思い知らされました)。

 家電量販店から帰宅をして、以前からずっと覚えていたlg電子のホームボットに的を絞ってネット検索をしてみました。理由はスクウェア型をしているので丸いタイプの掃除機に比べると端っこに強い設計だと紹介されていたからです。すぐホームボット - LG お掃除ロボット VR6270LVMB - HOM-BOT SQUARE - LGエレクトロ二クス・ジャパンが見つかり、いくつかネットショップで扱われていたのですけど値段に差がなかったので、一番使い慣れているアマゾンから速攻で申し込んでしまいました。家電量販店の60%くらいで購入できました。
 続いて、ロボット掃除機では椅子などを移動させての掃除はしてくれないので、そのような場所は手動で掃除機をしなければなりませんから今まで通り大きな掃除機を持ってきたのでは手間の軽減にならないので、ハンディ掃除機を前述のようにお得セットで検索しました。ただ、こちらは値段は安いのですけど想像していたものと大幅に違っていたなら困るので紹介ビデオなどを助手や副院長に見てもらい、その後に電話で注文をしました。お得セットは予定数が終了するとページがなくなってしまうので、メーカーのハンディクリーナーのページです、こちらは家電量販店の25%程度の値段になりました。ハンディクリーナー/掃除機|家電|ブラック・アンド・デッカー BLACK + DECKER
 ただし、後述しますけどこのハンディ掃除機は半年でお役御免ということになっています。用途に問題があったということで、価格帯の低いものに関しては目的をかなり絞っての購入が必要だという教訓になりました。決して製品自体が悪かったのではありませんから、あしからず。

 さて、まずはロボット掃除機が到着です。実物を確認せず購入したのでちょっと恐ろしかったのですけど、本体の操作はタッチパネルのみでしたがリモコンが付属してきたのはラッキー。国内メーカー品のようにいろいろと会話をしたりネット接続をしたりなどはないものの、ガイダンスはしっかり日本語ですし掲示板に書かれていたように動作が静かです。それに私がイメージしていたようにゆっくり動いてくれるタイプです。
 早速に試運転を待合室でさせてみると、これは見事な掃除っぷりでした。明くる朝に監視をしながら掃除をさせてみると、「けなげに掃除をしてくれている」という感じのなんともいえない哀愁さえあります。しかし、これまた予想通りどこかへ迷い込んで自力で充電台へ戻ってこられない事象を連発してくれました。
 まずは壁とベッドの間に挟まってしまう箇所が、いくつかありました。広さを調整してみるとこれは仕事をしている我々も楽となり、ベッドと壁の間の広さは無視してベッド間の広さばかり気にしすぎていたことに気づかされました。次はベッドの頭側に設置してある床からのコンセントに乗り上げてしまいます。思い切って頭の側へベッドを引き上げてみると、これもベッドの足元で着替えをしている患者さんのスペースが広くなり、カーテンを中心にベッドの配置を考えていた頭の中だけの設計だと思い知らされてしまいました。要するにカーテンは仕切りのみであり、ベッドが斜めでは見ていて気持ち悪くなるでしょうから困るものの前後左右が多少偏っていても困らないのであり、特に前後については患者さん優先の方がよかったということです。思い出してみるとベッドが五台だったときの配置は、足元のスペースを広くしていたのでありました。
 ベッドの配置が調整できたならバッチリかといえば、思いもかけない場所で毎朝エンストをしているロボット掃除機を探すのがしばらくの出勤直後の日課になってしまいました。まさに「おいぬ様」ではなく、「ロボット様」状態でした。
 少しずつ配置を調整し、床に落ちていたコード類なども全てきれいにしました。赤外線カメラも搭載しているといいながらも光学カメラも使えた方が有利ということで朝からの予約掃除に切り替え、最後の課題は高さがギリギリなのに待合室の椅子の下へ潜り込もうとしてしまうことでした。夜行性のウサギが机や建物の下側へ必死に潜り込もうとしているような姿であり、「ラビット君」と一時期は呼んでいたほどでした。名案が浮かばず、ゴミ箱と忘れ物かごを椅子の前に移動させてブロックさせていたのですけど、それでもどこからか潜り込もうとしてしまうので絶対的な解決策ではありませんでした。後日にこれは椅子の高さの調整を兼ねた足を目いっぱいまでねじを戻して高くすることにより、ロボット掃除機がもぐりこめるようにすることで全面解決となりました。「コロンブスの卵」ではありませんが、潜り込める程度のスペースを無理に阻止するのではなく潜り込めるスペースに拡張してやるという逆転の発想、これも勉強になりました。

 試行錯誤が一ヶ月近くかかりましたけど、まれに何かでトラブルを起こしてはいますけどほぼ自動的に掃除をしてくれるようになりました。実力のほどですけど、これはびっくりするほど綿ゴミを吸収してきてくれます。「えーっ、こんなに!」というくらい、毎日綿ゴミが出ていたことに改めて恐ろしくなりました。出勤後に一度外出をせねばならないことがあってモップの方を先にしたことがあるのですけど、この時には綿ゴミがほとんどないのではと予想していたのにそれでもいつもの半分以上がとれてきたのも驚きで、掃除機の重要性が身にしみました。待合室と治療室を併せるとそれなりの広さがありますし、毎日の患者数からしても自然とゴミが蓄積するのは当然のことなのですが、清潔な鍼灸院を保つためにいい買い物をしたと思います。

 一方のハンディ掃除機ですが、こちらは何もトラブルを起こさず最初から快調に働いていてくれます。通常の縦型として使うためのアタッチメントがプラスチックのみのいかにもという感じの安っぽさですけど、吸引力が問題なのですから気にしません。音も掲示板に書かれていたようにうるさいですけど、大きな掃除機も床で音を出しているのでありそれが耳元へ来ただけですからこれも仕方ないことです。ゴミを蓄積できる量がかなり小さいのですけど、これもハンディだと割り切れば別に不満はありません。
 いい面は、ベッドの足元の掃除が劇的に可能になったことです。フットスイッチは文字通り足で踏んでいるのですからゴミの蓄積しやすい箇所なのに、大きな掃除機ではホースを持ってくるだけで面倒だったものが簡単に掃除ができます。ガスファンヒーターやエアコンのフィルターも、掃除機の方がその場所へやってくるのですからとても簡単に素早く掃除ができるようになりました。机の足元の狭い場所とか収納庫の隅っことか、気づいたそのときに掃除ができてしまうこと、とてもいいです。こちらも本当にいい買い物をしたと思います。
 ところが、スティックタイプとしても使えるように縦型ノズルの付属したセットを購入しましたけど、バッテリーが毎日10分の駆動を想定したものではなかったためすぐ性能が落ちてきてしまい保証期間内だったのでバッテリーは交換をしてもらいましたが想定の方にもんんだいがあるということでこのハンディ掃除機は自動車の掃除用ということになりました。品物が悪かったのではなく、用途に問題があったということです。それで家電量販店をまた下見に行くと、冬からは約一万円値下がりしていたのでスティック式掃除機 商品一覧 掃除機 Panasonicの中から、コードレスでハンディタイプにもなるものをすぐ購入しました。白物家電なので縦型として使うときには回転ブラシがあり、毎日の掃除も想定されているのですから最初からこちらを選んでもよかったという印象でもあります。すぐ自宅用にも、もう一台購入をしました。ダストボックスの小ささだけはなんともしがたいところですけど、音も以前に聞き比べたときよりかなり小さく感じて、録音図書を聞きながら掃除をしていても邪魔になりません。

 そして、もう一つ副産物ができました。朝の慌ただしい掃除機が自動化された上にその他も素早く済ませられるので、今まで「どうしても」というときだけ急いで急いで掃除を仕上げられなくても受け入れていた8:45という予約枠を常設に変更することができました。これにより午前中の最大枠が21まで拡大できるようになり、一人でやっていた頃の約三倍になっただけでなく、当日用としてあらかじめ予約から除外しておく枠が2から3へと増やせたので、患者さんのニーズに応えやすくなりました。
 掃除は仕事の基本であり、医療機関として清潔の維持は絶対条件です。質を落とさずに自動化・省力化できたことは、「必要は発明の母なり」から出てきた変更だったとはいいながらも、ロボット様に教授いただいたことも含めていい転換になりました。治療へ振り向けられる率が上がった分、これからも精進していい治療ができるように努力していきたいと思います。