『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

花粉症の治療、継続治療の報告

 今回の院長ブログは、いつの間にか旬ぎりぎりになってしまっていたので急いで短いエントリーを。

 2017年の冬は年明けから急に寒くなり、特に滋賀県彦根地方では二度目の大雪が33年ぶりとなる60cm越えを記録し、道路がアイスバーンになってしまい一週間も自由に自動車が走れない状況でした。この二度目の大雪は彦根地方だけに集中的な降雪があり被害が大きかったのですけど、三度目は長浜でぼた雪なのに記録的な積雪となっていて、それでいて彦根では何も知らないという珍事でした。今シーズンの雪で感じたことは、夕立と同じで少しの違いで降雪量は大きく変わるということであり、被害がないのに越したことはありませんけどちょっとしたことで騒いでも仕方ないということでした。
 滋賀県だけでなく今年は杉花粉の飛散する時期がかなり遅かったのですけど、3月中旬になると本格的な飛散が始まりました。ところが今年は「花粉症が始まっているのですけど」と訴えられる患者さんでも、何年かにわたって花粉症の処置をされている方の症状がとても軽いのです。要因を考えるとすぐ症状の回復が期待できます 花粉症の治療のパンフレットを発行したのが三年前であり、これを見て治療をという患者さんが2シーズン目あるいは3シーズン目ということで、花粉症そのものは発症しても症状が軽いようです。

 ほかにも「にき鍼灸院」のページには花粉症に関して漢方病理をもう少し詳細に書いた雑誌投稿の論文もあるのですけど、要するに上焦と中・下焦の交流がうまくいっていないために杉などの花粉が飛んできたときに呼吸の力が弱いため、涙や鼻水の水分で花粉をたたき落として侵入を阻止しているのであり、呼吸器へ侵入されたものはくしゃみではき出しているのが本質だと考えるのです。涙や鼻水・くしゃみを出す原因が花粉なのではなく、花粉の侵入を防ぐ力がないので涙や鼻水・くしゃみで防いでいるのです。
 ですから西洋医学の鼻水を出さないようにする薬を使うと、鼻水そのものは出にくくなりますから不快感は減少するものの、それだけの話でマスクやサングラスが不容になるわけではありませんし、副作用で眠くなったりします。そして一番の問題は症状の回避であって花粉症の治療をしているわけではないので、毎年同じことを繰り返すのです。
 これに対して漢方病理から花粉症を究明すると、上焦と中・下焦の交流を改善してやれば問題解決するのであり、上焦と中・下焦の接点は膈兪ですから、膈兪の硬結を丁寧に緩めてやればいいということになります。ただし、硬結を緩めるといっても通電など強刺激では「働きあって形なし」の三焦のバランスを整えることはとてもできませんし、ディスポを含めて鍼管を使っての切皮でもいきなりですからおそらく深すぎます。毫鍼でも細いものでゆっくりと捻鍼するのが基本であり、膈兪で花粉症の治療を始めたときにはそのようにしないと効果が発揮できませんでした。現在はていしんのみを用いているのですけど、垂直に静かに当ててしばらくして抵抗が緩むのを待っているというのが効果的です。

 以上、一番簡便で効果的な花粉症の治療、継続治療の報告でした。