『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

JR西日本、「緑の券売機」を使ってみて

 電車は月に数回程度しか利用していませんが、2019年3月17日の日曜日の朝に南彦根駅(JR西日本)で滋賀漢方鍼医会の月例会へ出席するために草津までの往復切符を買おうとしたなら、「みどりの窓口は昨夜21時の営業で終了しました」と駅員さんに声をかけられました。
 「えっ!」というのか「ゲッ!」というのか、突然のことで動悸を感じるくらい驚きましたけど、ダイヤ改正に伴ってシステムが変更されたようであり、幸いにも一ヶ月くらい前のJBS 日本福祉放送トップページで毎朝午前10時から放送されている新聞朗読で自動券売機にオペレーターとのやりとりができる新機種が投入されて集中管理をしていくという記事を聞いていましたから、「あぁこれのことか」と数秒で納得できました。
 今回、彦根市視覚障害者協会からの要望より同じJR南彦根駅で、南彦根駅彦根駅の駅員に加えてJR京都支社からも担当者に来てもらいレクチャーを受けましたので、体験を含めてブログへまとめ直しました。

 おおざっぱな要約は、現地勤務の駅員はできる限り安全面への職務に専念できるようにするため、遠隔操作で対処できるものはセンターへ業務を移管していくというものでした。
 これは我々視覚障害者にとってはプラットホームでの介助を駅員が少ない時間帯でも頼みやすくなるメリットがあり、駅員配置の少ないところを利用するときも待ち時間が短縮される可能性が高くなりますから、決して悪いことではないと思います。
 問題は券売機の位置を知らない衛気の時、探す手間ができてしまうことですけど、これは窓口を探すのと同じですから文句をつけては無駄かと思います。またそれらしきところを歩いていたなら自動ドアが反応して開くのに似で、女性の自動音声が呼びかけてきますからわかってしまうケースはあるでしょう。銀行の中へ入るとそれらしきところを適当に歩けば、ATMの方から声をかけてきて場所がわかるのと同じようなものです。

 南彦根に設置された「緑の券売機」の使い方はおおむね次のようです。もちろんJR西日本では同一のものが導入されているでしょう。早速に点字表記の間違いを、それもシールが貼り付けてあるのではなく機会そのものへ刻印されている箇所に見つけてしまいましたから、一刻も早く製造段階での修正をしてもらえるように担当職員へ参加者全員で何度も突っ込んでいました(関西人はぼけ突っ込みの世界ですから突っ込む突っ込む)。

 機械の中央には大きなタッチスクリーンがありますけど、ここは最初に間違って触ってもお金を取られてしまう心配はないので、堂々と機械がどうなっているか触って大丈夫です。晴眼者はマルチスクリーンなので地図や料金が表示されており、結構複雑な切符を自分で購入してしまえるようです。「鉄道おたく」にはたまらないでしょうね、昔は毎月発行される時刻表の本でシミュレーションをして遊ぶ鉄道少年が多くいたものです。今はスマートフォンで全国の駅時刻表が瞬時に見られますし、特定の契約だと切符そのものを購入しなくても特急券の座席指定まで取得できるのですけど、よほど利用頻度が高いか好きな人でないと使い込んではいないのでマルチスクリーンは便利なのでしょう。
 左上にハンドセット、つまり電話の受話器と同一のものがありますからこれを取り上げ、ハンドセットの下側に上から音量を大きく・音量を小さく・オペレーターを呼び出すボタンがあるので、一番下の四角いボタンを押すとセンターのオペレーターが応答してくれます。そのままハンドセットを耳に当てて購入手続きをすることもできますが、財布からお金を出すなどしなくてはならないので両手が使えるようにハンズフリーに切り替えてもらって続けることになるでしょう、健常者もそのようにしていました。
 ハンズフリーへの切り替えは自動で行われるのではなく、オペレーターへその旨をまず伝えます。このときには「身体障害者手帳での割引購入がしたい」とか「どこまでの往復切符なので」のように、概略を先に伝えてしまうとスムーズになるでしょう。ハンドセットを元の位置へ戻すと、オペレーター側からスピーカーで呼び出し直してくるという形式になります。

 ハンドセットとマルチスクリーンの下側に各種の投入口や払い戻し口があります。二段になっていて上の段は投入口で、左からクレジットやicokaなどのカード挿入口、中央が紙幣投入口、右が硬貨投入口です。下の段は左から切符の発行口右が釣り銭の払い出し愚痴です。これらの右側に段差がついている箇所の中でテンキーがあるのですけど、クレジットカードを使うときには暗証番号をこれで打ち込むことになるのでしょう、今回は使わなかったのでキーの配置を確認し忘れていました。
 そしてテンキーの右側にトレイのようなものがあり、ここにはカメラがあるので身体障害者手帳など各種の証明書を置くと、センター側で確認がしてもらえます。私は写真のついている正面だけ提示すればいいと思っていたのですけど、種別確認のためにページをめくってほしいといわれ初めてそこまで確認されていることを知りました。鮮明に見えているようなので、確認はすぐ終了してもらえました。
 このトレイの奥側に「投入口」というのがあるのですけど、ジパングクラブなどチケットを切り離しながら使うもので手続きが終わったならここへ投入するそうなのですが、ここの点字表記が間違っていました。「とうにゅーぐち」と長音符を使うべきところが、「とうにゅうぐち」とひらがな表記の「う」になっていました(第一発見者は私)。前述のようにシールではなく機会そのものへ刻印されているので、これは問題ですよねぇ。

 実際に使ってみてなのですが、やりとりそのものは今までの「みどりの窓口」と何ら変わらず、丁寧に応対してもらえました。慣れない間は挿入口を探してしまうかもしれませんけど、こちらの手元は見えていないようですが声でヘルプを頼むことは十分に可能です。
 さて、ここで今回一番の問題点が発生しました。切符の発行とおつりが戻ってくるのが同時なので、普通ならまずはおつりを財布へ戻すのですけど切符の方をまずは先に取ってしまうことを忘れてはいけません。切符や領収書が発行されてから30秒程度すると、人がいないかもしれないというエラーということで勝手に機械の中へ吸い込まれてしまい駅員さんの手を煩わせてしまうことになるからです。これは「領収書に名前を記入して発行してほしいのだが」と質問していたなら偶然に発生してきた事象であり、担当者もあまり意識していなかった事象のようでした。ちなみに領収書へ名前が必要なとき、自分で書き込むか駅員に書いてもらってくださいということです。うーん、領収書の意味が半減しているような気がするのですけど、今のところ限界のようです。
 話を戻しまして、切符を受け取ったなら往復や特急券と複数枚になっている場合、さっきのトレイに載せてオペレーターに見てもらうことを忘れないようにもしてください。特急を乗り継いだり片道しか使わないとか様々なケースがあるので、「この順番で出てきます」ということが一律にはできないかららしいです。これは仕方ないですねぇ。切符を入れる紙袋は、トレイのさらに右側にあり自分で取ってくるということになります。
 現時点でもう一つ不満だったのが、icokaのチャージがオペレーター経由では不可能だったこと。隣の普通の券売機ならチャージができるのですけど、こちらにはもちろん音声はありません。icokaは普通の券売機でまず購入して使い始めるここは仕方ないとして、「じゃidokaを定期券に変更するのはどうすればいい?」と質問したところ、それは緑の券売機でできるそうで有り体危険の更新手続きも支払いもできるというのですから、「どうして普通のチャージができない」とここもほぼ全員で何度も何度も突っ込みを繰り返してきました。スマートフォンを持っているならモバイルSuicaへチェンジしていくとは思うのですけど、早く改善してほしいですね。それからスマートフォンの中に入っているカード類での支払いはできないということでした。モバイルSuicaでの割引乗車についても、現在JR西日本では対応していない感じです。

 今後は乗換駅以外では「緑の券売機」が設置され、こんな風になっていくと思われます。けれど駅員が安全業務に専念できるようにということですし、どんどん短くなっていた営業時間も5時30分から23時までと大幅に戻してもらえたので、少し慣れれば便利だと思います。というよりも慣れなければならないのですけど、自分が利用している最寄り駅がこの券売機へ変更になったなら利用者の少ないだろう時間帯に早めに申し込んで練習をさせてもらっておいた方がいいでしょう。
 「緑の券売機」設置と同時に、駅構内でもう一つ変更された点があります。改札口に駅員が常駐しなくても業務ができるようにと今回の券売機導入となったのですから、電車到着時以外では駅員がどこにいるのかがわかりませんので呼び出しボタンが設置されました。南彦根駅の場合は入り口を基準にすると一番左側の自動改札のところにあります。設置初日に草津から戻ってきて改札へ向かっていたとき「あれっ、点字ブロックの位置が変わっているぞ」と気づいてはいたのですけど、この呼び出しボタンの自動改札へ誘導するために変更されていたみたいです。それでこの呼び出しボタン、駅構内で勤務している駅員さんへトランシーバーで連絡されるのかと思いきや、これまたセンターのオペレーターへつながります。不思議な気もしますけど現地業務の手を止めないためであり、センターの方が情報量が豊富なので時刻表を尋ねたりしても大丈夫みたいです。必要があれば駅員さんを改札まで呼び戻してもくれるでしょう。それから車いすのことを考慮してボタンの位置がちょっと低くなっているのは注意点です。

 注意点を繰り返しておきます。切符や領収書が発行されたならとりあえず機会から引き抜いてしまうこと、そうでないとエラーとなり機会の中へ引き戻されて駅員さんの手を煩わせてしまいます。領収書の宛名書きもされません。定期券のicokaであれば操作も入金もできますが、通常のチャージの身は受け付けてもらえません。ジパングクラブなどチケットを使って購入した場合、そのチケットを返却する投入口の点字表記が間違っています。
 そして、現時点では健常者であっても慣れない操作のために一人あたりの占有時間が長く、休日の販売はかなり混雑しています。時間に相当な余裕を持って駅に到着しておいた方がいいでしょう。