『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

ボイスオーバーでGoogle翻訳のリアルタイム音声翻訳を使う

 今回はiPhoneを用いて、視覚障害者がボイスオーバー環境でリアルタイム音声翻訳をそこそこ使いこなせている状況を報告します。鍼灸院での治療中というやや特殊な場面ばかりですが、それだけにとっさでの工夫などもあり短期間で実用的な方法になったと自負していたのですが、結論から書けばアプリを起動し「リアルタイム翻訳」のボタンをダブルタップ、ライブ翻訳の画面になるので「会話」「開始」とボタンをダブルタップだけで、iPhone本体を患者さんとの間においておけば会話が成立します。でも、試行錯誤から使えるようになったという記録です。

 ドラえもんに出てくる“翻訳こんにゃく”をご存知だと思います。小学生の時には外人さんと普通に会話できたならいいなぁと単純に憧れ、中学生になると英語を勉強しなくても良くなるなら絶対に欲しいと、その他の場面でも“どこでもドア”と並んで絶対に欲しいアイテムでした。
 この“翻訳こんにゃく”をほぼ実現するアイテムが登場してきたのが2020年前後で、最初はスマートフォンアプリを独立させたような感じの専用ハードで文字レベルで多言語の翻訳を行えるようになり、続いてオフラインでも使えるようになったなら、音声での発話もしてくれるように進化してきました。さらに専用ヘッドホンとアプリの組み合わせで、スマートフォン上でリアルタイムでの音声翻訳が可能というものが登場して、実用レベルだという評判になりました。しかも価格が数万円ですから、宿泊業や観光地でのインバウンド向けの商売なら、十分に元が取れるレベルに感じます。
 それを現時点ではですが無料で実現してくれたのが、Google翻訳アプリ。2025年12月にリアルタイム音声翻訳が英語圏でテスト導入され、その他の言語にも拡張されるというアナウンスではあったものの、日本語は複雑なので1年後くらいではないかとの予想が、2026年3月末から早くも対応してくれました。
ここからは「にき鍼灸院」のホームページ内に設置してある「臨床雑感アレコレ」の記事を再録しながら加筆しています。そのため一部重複した説明も出てきますが、逆にライブ翻訳が早くも実現されたので、相互翻訳への要望もずいぶん書いたのですがその部分はカットしました。

投稿第一弾
Google翻訳がリアルタイム音声翻訳で日本語にも対応したと、ドラえもんに出てくる“翻訳こんにゃく”が現実になったと、先月末からニュースを賑わせています。すぐアプリを試しましたが、どれがリアルタイム音声翻訳か、よくわかりませんでした。そのように書かれてあるボタンがないのです。
 夕方に非常に強い腰痛だと運ばれるようにしてきた患者さんはベトナムの方で、ベトナム語しか話せないので友人が通訳についてきてはくれましたが、この友人の日本語も日常会話程度。細かなところがお互いに伝わりません。こういうときこそアプリをと起動しますが、実験段階で成功していないものが本番で通じるはずがありません。左下の“会話を翻訳”というボタンがリアルタイム音声のものだとわかりましたが、今度はヘッドホンを装着しているのにテストで話しかけた私の日本語を英語にしてくれません。他の患者さんもおられる中を焦りながら操作していると、設定で聞き取ったなら直ちに音声を戻すというようなチェックがデフォルトではオフになっていました。これで私が話しかけたものは英語にできましたが、相手のベトナムごとの相互翻訳のやり方まではタイムアップで持ち越しになりました。ベトナム語のデータもダウンロードしなければならないのかも。でも、ブルートゥースヘッドホンを使うことでiPhone本体をお互いの真ん中に置かなくても会話はできるかもしれません。次の来院までに、もっともっと実験と操作練習が必要です。
 ということで、初回での挑戦はあえなく敗北。その中でも「よくぞすぐ音声で発音する」のチェックがあることを発見できたものです。実際に使ったというネット記事を数本読んでいたものの、こういう設定変更が必要だと解説してあったものがありませんでした。最新アプリを使いこなせるなら「此位は自分で色々やるだろう」と、テクニック重視の記事の落とし穴でしょうか。しかし、アプリのバージョンアップで「リアルタイム翻訳」とボタンの名称がわかりやすいものへ変更され、音声はテキストのみを選ばなければ必ず出力されることになりました。言語セットについては、クラウド上で変換されるので会話対象の言語を選ぶだけで膨大なデータを取り込んでおく必要はありませんでしたが、その後ダウンロードもできるようになったのでより素早く翻訳ができそうです。オフラインでも使えるのかは、検証できていません。
 ブルートゥースヘッドホンには電話用のマイクが内蔵されていますから音声も拾ってくれればいいのですが、ヘッドホンはこの時点ではあくまでも翻訳された音声を出力するのみでした。私はあまりヘッドホンのままで電話をしたことがないものの、相手はヘッドホンで会話をしていたことに全く気づかないほどノイズキャンセル機能もあって音声をきれいに拾っているのに、実にもったいない。
 それからベトナム語しか話せない患者さんですから英語もわからないということで、激痛の状態を必死に訴えられますから、他の患者さんも複数おられたのでますます混乱状態。通訳してくれた友人も日常会話と言いながら、その日常会話が怪しいレベルでしたから、ここでもつまずくことに。小さなお子さんも連れておられたので、生きた心地がしませんでした。

投稿第二弾
金曜日の夕方に大苦戦して、結局はその日は使えなかったリアルタイム音声翻訳の機能。昨日にかなり時間をかけて調べました。まず初期設定では日本語が基準で、一番メジャーな英語が翻訳対象としてあらかじめセットされています。ベトナム語はリストから選んでセットしてやらないと、翻訳対象になりません。自動検出の機能で一瞬ベトナム語が見えていたので、普通に使うなら簡単に選べてしまうのでしょう。ボイスオーバーではこのあたり素早く操作できないのですが、ここは仕方がない。
 それで日本語とベトナム語をセットして話しかけると、一瞬は遅れますがベトナム語に翻訳されていました。これでこちら側からは伝えることができます。

投稿第三弾
前エントリーのさらに続きとなりますが、先週の金曜日に劇症の腰痛で抱えられるようにして来院されたベトナム語しか話せない患者さん、リアルタイム音声での翻訳がどこまで実践で役に立つでしょうか ?結論から書けば必要最小限ながら意思疎通はできました。今まで晴眼者は画面が読めるので文字ベースで会話になっていたそうですが、全盲の私にはボイスオーバーが必要であり通訳がいなければどうにもならなかったことが、やっと壁をテクノロジーの力で乗り越えられました。
 事前準備は、通訳の言語を日本語とベトナム語にセットしておくこと。最初は私が日本語で色々と治療のことやアプリのことを連続で説明していくと、意味がわかった反応をしてくれました。そして患者さんの症状を聞くのですが、言語の入れ替えが一度アプリを終了させて再セットしなければならないのが面倒。でも、自発痛があることは「常に痛みます」とか、夜間痛は「めを閉じていても痛みます」という遠回しの表現ながらニュアンスが伝わってきました。なんとか自力で動けるようになったという回復の説明がなかったのは、関西弁の範囲内で暮らしているため?
 仕上げ段階で今後の見通しを言語を入れ替えて説明すると、初回は不安だらけだったものから安堵の表情になってもらえました。激痛で声が出ていたのから二度目なのにすんなり寝起きできるようになっているのに、「まだ痛みが残っている」って、関西のおばちゃんの変な突っ込みを学習している?
 もう一つ大切な工夫だったのが、ブルートゥースヘッドホンを一つずつ使ったこと。翻訳のペースを音声で確認しながら次の会話に進行するためでした。イヤーカフ型で耳の穴に突っ込まない形状も、衛生面を含めて会話を阻害しない大切な要因だったでしょう。残りはどのタイミングでボイスオーバーのオン・オフをするかで、こちらは慣れていますが「変なガイドもあるなぁ」斗思われていたでしょう。

追加の解説を入れます。 劇症の腰痛の原因は、腰椎の亀裂骨折でした。強い腰痛を長く持っていたそうですが、言葉の壁と小さな子供がいるということで治療を受けていなかったなら、それがとうとう疲労骨折を引き起こしたようです。骨折の最も簡便で確実な診断方法は、遠くの骨を打診して患部に響きがあるかどうかであり、脈診では両方の寸口が同時に強くなっているのが特有の脈状です。そして骨折の治療で一番大切なのは「アタラずとも遠からじ」の施術では回復が遅くなってしまうので、患部をしっかり特定することです。そこへ「瀉法鍼(二木式)」で骨の深さを動かすことにより、普通に臨床ができています。
 また背部や腰部の強い痛みは脊柱起立筋への負担が大きいことが関与しているので、普通の弾力と緊張して固くなっている境目に円皮鍼を入れることで経絡が擬似的に疎通され、瞬間的に痛みを軽くできる痛み止め処置がとても有効です。この場合は痛みがあまりに強烈だったので、初回の最後に左右の高さを揃えながら2つずつ、合計四本入れて自力で寝起きができるようになり、自力で歩行して帰宅してもらっています。入浴は数日禁止にしています。

投稿第四弾
ベトナム語しか喋れない腰椎の亀裂骨折から激烈な腰痛になっている患者さん、初診時にリアルタイム音声での翻訳アプリをチャレンジしましたが、ぶっつけ本番ではアプリの構造そのものが把握できていませんでした。二度目は練習をして対処したので、こちら側からの説明は伝えることができ、ニュアンスが微妙ながら痛みに対する訴えも聞くことはできました。でも、言語の入れ替えに手間取ってまだ今一つのレベル。
 本日は三度目ということもありましたが、痛みが日常生活で苦痛というところから回復していたので患者側にも余裕があり、最初の此方側の説明から言語を入れ替える必要があるという説明もあって、しっかり聞き取ることができました。東北と北海道に津波が来るというニュースで通知が鳴りまくってくれますからボイスオーバーを切ったのですが、翻訳の精度やスピードに変わりはないと思われるものの私の立場でも、翻訳された言葉を聞くのにボイスオーバーは切ってしまったほうが使いやすかったです。
 これでなんとなくリアルタイム音声での翻訳機能が臨床現場で一人前になり、付添の日本語ができる友人の手伝い無しで治療ができました。

 地震というのは2026年4月20日の夕方に発生した岩手・青森・北海道沖の海底地震で津波警報が発令されていたもので、リアルタイム音声翻訳を開始しようとしたならアラートが連続で入ってきてしまいますから、思わず反射的にボイスオーバーをオフにしたものです。次の投稿で様子がわかります。

投稿第五弾
前エントリーのGoogle翻訳アプリでの追記になります。「にき鍼灸院」派複数のベッドが同時並行で動きますし、ラジオからの津波速報も他の患者さんの関心があるでしょうから流しっぱなしの状態での検証です。まずBGMについては、なるべく会話が入っていない音楽のみが好ましいですが、ラジオならボリュームを絞っておくべきです。しかし、リアルタイム音声翻訳の最初でiPhoneを手に持ってマイクの近くで話しかけると、声の質も聞き取っているという情報ですからボイスオーバーを切ったこともあり、iPhone本体はベッド上においてそのまま施術をしながら話しかけても翻訳に支障ありませんでした。津波情報はそこまでボリュームを絞れませんでしたが、どちらも私は聞き取れていました。
 しばらく会話に間ができても、聞き取りは自動的に再開されました。会話のフレーズはそこそこの長文でも聞き取ってくれて、翻訳に掛かる時間は同じくらいでしたから、意味のある文章を話してしまう方がいいようです。
 耳をふさがないタイプのヘッドホンを一つずつ装着して、アプリ動作と人間の会話のペースがずれないようにすることは、その場で思いついたことですがこれは大正解。患者側もだんだんと話しかけるタイミングを掴んでくれていましたから…。別のベッドの動きも期にしながらになるので、イヤーカフ型があったのはラッキーでした。
 医療の現場ですから通常会話と少し違ってはいるものの、相手が素人さんなので高度な医療用語は用いていません。「龜裂骨折」と「骨にヒビが入っている」、どちらの表現のほうが正しく翻訳されるのか、今度はテストで英語でやってみようと思っています。もっとアプリがこなれてくると、医療・宿泊観光・ビジネスなど、場面設定ができるようになると制度の高い翻訳になると思えます。
 最終的には多言語が存在している場面でも、設定により必ず日本語に翻訳できる機能が装備されればというのが希望です。相手は逆で、必ず自分の国の言語に翻訳されるようにアプリを動作させていればいいのですから。

 ミニブログからの記事は、ここまでです。その後にネパール語しか話せないネパール人も強い腰痛で来院されます。初回は事務員さんにネパール語をすぐリストに追加してもらうことで、こちらの説明を伝えることができました。ところが、不安定ながらネパール語を日本語にも言語の入れ替え作業をしていないのに音声で通知してくれます。英語なら相互翻訳が可能な感じでしたが、順次対応言語が増えているのかもというのがこのときの感想でした。
 ところが二度目の治療では、アプリが大幅バージョンアップしていたようで「リアルタイム翻訳」とボタン名称が変わっていて、その後にライブ翻訳のダイアログが現れてきます。ボタンがいくつかあって左から「リスニング」次に「会話」とあり、リスニングではヘッドホンから翻訳が聞こえるという説明が添えられてあるので今までの流れから選びましたが、翻訳されるスピードが遅い上に途切れ途切れの質の劣化した音声しか聞こえません。ネパール語からの日本語への翻訳も、今回は働いてくれません。腰痛はかなり改善していたので余裕があったからいいものの、そして幸いにも通訳してくれる人も同時に治療を受けていたので最後の確認作業は人の力に再び戻ってしまったのでした。一週間以上アプリを起動していなければ、事前チェックをしておかねばならないと教訓になりました。同じ日にベトナムの方の治療をして「会話」のボタンが相互通訳だとまではわかり日本語で訴えも聞けましたが、ヘッドホンからのベトナム語は劣化した音声でした。
 その後に様々な設定でテストを繰り返すと、「会話」を選んでヘッドホンは接続せず翻訳開始すると本体からどちらの言語もスムーズに流れてきました。しかもスピードが向上しています。枕元にiPhone本体を置いておけば相互翻訳された音声が聞こえるので、ずっと手放しでよくボイスオーバーもオフにする必要がなくなりました。ヘッドホンからの音声については有線タイプもその後に試して同じ劣化した途切れ途切れのものでしたから、現段階ではアプリの出力に問題があるようです。「龜裂骨折」と「骨にヒビが入った」ヲ英語で比べたところ、同じ単語を使っていたので差がないように私の英語力では感じました。英語のポッドキャストをyoutubeから流して翻訳させると、マシンガントークなのでずっと聞きっぱなしになりましたが数秒魔が空いたところで翻訳された音声を話してくれると、しっかり全部聞いていてくれました。映画やドラマだと、本当にスムーズに同時通訳してくれそうです。

 臨床現場ではヘッドホンが不要になりましたが、映画を見たり学会などではヘッドホンが必須でありアプリからの出力改善はされるでしょうから、せっかく書いていたのでヘッドホンの解説を最後に追加しておきます。耳の穴に突っ込まない最近流行りのオープンイヤータイプでも、耳たぶに引っ掛けるイヤーカフ型というものを持っていました。滝のように汗が流れる人なのでランニングマシン中に何台もヘッドホンを壊しており、耳たぶに引っ掛けるなら汗で壊すことはないと購入したなら耳の穴のすぐ横で高性能スピーカーが鳴っているようなものですから、音質の良さにも驚きでカナル型のノイズキャンセルタイプへの興味が一気になくなりました。鍼灸院の掃除中に音声図書を聞くためのイヤーカフ型を常備していたので、ひらめいて患者さんの片耳に装着しました。最初びっくりされましたが、耳の穴には突っ込まないことと外音も聞こえるので、衛生的でもありすぐ安心されます。耳の穴に突っ込まれていると片耳でも発音をすると自分の声に違和感が強くなるものの、それもないことが安心をされたでしょう。コードレスなので私も別のベッドに移動している間もつけっぱなしで行動でき、他の患者さんとの会話にも違和感がありません。価格は色々ありますが、1万縁以下のタイプでいい音がしています。タッチコントロールだけでなく物理ボタンタイプもあります。