『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

(追記あり)子供へスマートフォンを与えるまでの奮戦記

 今回の院長ブログは、視覚障害者のIT活用ということで時々備忘録を兼ねて書いている話題です。鍼灸治療には直接関係ありませんので、あしからず。

 我が家は障害者のアクセシビリティ機能を開発段階から組み込んでいて一番扱いやすいだろうIOSスマートフォンでもタブレットでも導入しているので、というよりもセットアップ作業を私が自力で行える環境が整っているということで家族のデバイスを管理しています。パソコンは日本語特有の漢字仮名交じりで文章を書かねばなりませんから、国産スクリーンリーダーが存在するWindowsにどうしてもなってしまうのですが、できればMacも使いたいとは考えています。今までに低価格でのモバイルルータ導入に成功、しかもLTEです格安iPhone導入奮戦記、さらにiPhonee復活までのプロセス、バックアップは大切ですと、主には備忘録ですが視覚障害者だけでなく格安SIMを利用したい人への記事をアップしています。
 それで今回は、子供のiPhoneを追加するまでの奮戦記です。ペアレンタルコントロールの重要性とその効果についても記述しましたので、これから子供へスマートフォンを与えていかねばならない親へのメッセージでもあります。

 きっかけは娘が中学生になったことであり、滋賀県では二つしかない公立の中高一貫教育校への受験を突破できたことからです。ふたを開いてみれば地域小学校からの進学率は群を抜けていたものの、その他の同級生は電車通学をしなければならない遠方であり高校生を上回っているのではないかという琵琶湖の反対側から通学する子供もいました。いやはや、我が子も親も中学受験をなめていましたね。そこまで覚悟をして、遠方からみんなチャレンジをしてきているのでありました。それだけにクラスのレベルはそろっているのであり、高校生もおとなしい生徒ばかりで優等生の学校という印象みたいです。
 そういうことですから帰宅が遅い生徒ばかりなので携帯電話を持つことは必須であり、うちの娘も週に一度か二度だけですけど塾があると帰宅が非常に遅くなるので幸いにも自動車で迎えには行けますが、携帯電話は必須だろうということで密かに譲渡する準備を進めていました。

 今時の中学生はガラ系なら携帯電話を持たない方がましという感じで、極々当たり前にスマートフォンを要求してきます。それで我が家はiPhone導入時から格安SIMであり、端末を一括購入しておいた方が節税になりますから、お父さん(私)のiPhone5Sを「お下がり」ならという条件にしました。それから勝手にアプリの追加ダウンロードはできないことと、無制限に使われては中毒になってしまいますから夜には時間制限があることも条件にして、「この条件が承諾できないなら携帯電話の話そのものがなかったことにしよう」とほとんど脅迫したのですけど、それでもスマートフォンは喉から手が出るほど欲しかったようです。
 それで娘へ譲渡する前に私の携帯電話がなくなってしまいますから、玉突きで端末移動できるように乗り換え準備の方からスタートです。iPhone7のSIMフリー化された新古品へ乗り換えたのですけど、パソコンのiTunesへ5Sからバックアップを作成し新しいiPhone7へSIMカードを移動させ、パソコンからデータを書き戻せば私の電話に関してはほとんどの作業は完了です。実はいろいろな経過があり、半日ほどで作業が完了するはずが確認作業をしていたなら一週間かかってしまったという失敗話があるのですけど、今回は割愛します。

 iPhone5Sの端末は既にあるのですから、モバイル契約をどこで・どのようにするのかがランニングコストのかかる点なので悩みどころです。連絡手段が携帯番号の通話から特に若い人たちは全面的にラインへ変わってしまっているので、ラインモバイルならラインアプリでの通信がカウントフリーになるので月間1GBあれば動画さえ見なければ十分ですし、親や家族には電話と全く同じ動作をしてくれるフェイスタイムオーディオが使えますし、どうしても友達と通話をしたいときにはライン電話が使えますから090の携帯番号は取らないことにしたなら、月間500円での契約ということになりました。iPhoneで通信するためのプロファイルは提供されており、インストール作業は非常に簡単です。契約がパソコンからしかできなかった点と身分証明書の写真送付がやはり必要な点だけ店頭契約と違って面倒でしたけど、操作そのものは簡単なものでした。契約者はクレジットカード所有者であり保護者ですからお父さんですが、使用者を娘にすることによりラインの年齢認証ができますし、webの無料フィルタも提供されるので非常に安価で便利です。

 ここから娘の携帯電話を使い始めるまでの、具体的手順です。結構つまずいたのがアップルIDの作成です。自分のアップルIDを作成したのは10年も前のことですからすっかり忘れてしまっていることと仕組みも変わっているので、とりあえず将来的にも必要になるだろうからとYahoo!mailを希望を聞いて取得しました。ところがアップルIDの作成途中で、14歳未満は単独では作成することができず、ファミリー共有の機能より親の端末から作成せねばならないことがわかりました。メールアドレスは@icloud.comのみです。つまり、メールアドレスもここで一緒に取得できてしまったわけです。
 ファミリー共有で14歳未満の子供が登録されると、Appストアからアプリを取得するときは自動的に親の端末へ通知が送付され、承認が得られないとダウンロードが開始されない仕組みに最初からなっていました。これはなかなか強力で便利です。IOS12からは詳細なペアレンタルコントロールができるスクリーンタイムが追加されたので、後述します。

 お父さんが使ってきたiPhone5Sを初期化して、ラインモバイルのSIMカードではそのままでは通信ができませんからまずwifiに接続して取得したアップルIDとパスワードでログインします。次にメールアプリは自動的に使用可能になっていましたから、お父さんの端末へメールを送付して折り返しあらかじめダウンロードしておいたプロファイルを添付で返信し、この添付ファイルをダブルタップしていくとラインモバイルでの通信が可能になります。これで携帯電話としての機能は完成です。家族へはメールを送受信してお互いを連絡帳へ登録させ、フェイスタイムオーディオでの通信実験をしておきました。これで家族間通信もバッチリです。ラインアカウントを持っている家族は、これも相互登録をしておきました。
 続いて推奨されるアプリをAppストアからいちいち探していると面倒なので、ファミリー共有からお父さんお母さんのダウンロード履歴をたどることができるので、有料アプリも含めて次々に短時間でそろえることができました。このときにももちろん親の端末へ承認要求が送付されてきました。後はフォルダ分類をすれば一応できあがりです。セットアップは鍼灸院で事務員さんに手伝ってもらいながら行い、残りは自宅のwifiなのですけどエアドロップからパスワード共有で簡単に接続できました。
 面倒だったアプリは、ラインです。090の携帯番号を取っていませんから本人認証ができず、フェイスブックからのログインもフェイスブックが13歳以上でないと登録できないのでできません(フェイスブックIDからログインするとライン電話が使えないことが後からわかりました、これは不便です)。「おっさんはラインはやらないことになっている」ので私のサインアップはしていませんが、もし将来的にどうしてもラインが必要になったならそれはライン電話を活用するということなのでお父さんの携帯番号を貸してあげることもできません。パソコンからもラインアカウントが作成できたはずと調べたなら、固定電話での認証という手がありました。メールと電話の複合技のようにも読み取れるのでもっと別の方法はないかと探したのですけど、結局は電話番号が必要だということで認証要求を行うと一度では電話がかかってこなかったのですが二度目ですぐコールがあり、認証番号を打ち込むとあっさりアカウントが作成できてしまいました。これも後からわかったことですが一つの電話番号に一つしかアカウントは認証されないので、携帯電話を持たない今回のようなケースや小学生などは固定回線の番号が重ならないように計画的に解説していかねばならないですね。ラインモバイルなら固定番号を使わなくてもアカウントが開設できるようなサービスがあるのかないのか、事前に調べるべきでした。

 さてIOS11時点ですが、一番の問題は機能制限をどのようにしてコントロールしていくかでした。利用していたアプリはキッズブロックは広告が表示はされるものの、フリーソフトでありコントロールされる子供の端末へはアプリをインストールする必要がなく、複数の端末の管理ができます。まず親の端末へアプリをインストールし、メールアドレスとパスワードを設定してユーザー登録をします。続いてコントロールしたい端末用の設定を行うのですけど、ここは子供の名前で作成するとわかりやすいかと思います。するとプロファイルのダウンロードアドレスが表示されるので、これをコピーしてメールで子供の端末へ送信し、書かれてあるアドレスをダブルタップすればインストール動作が開始され、子供の端末での操作はこれだけです。
 親の端末でキッズブロックを起動しログインすると、管理できるプロファイルの一覧が表示されるのでダブルタップします。すると広告の動画が表示され一度操作不能になるのでホームボタンを押してアプリから抜けて、もう一度キッズブロックを立ち上げ直します(ここだけ面倒です、フリーソフトなので我慢しましょう)。後は制限したい項目を選んで時間設定や年齢制限を行っていきます。普通にIOSアプリを設定レベルから操作できる人なら、難しい点はありません。最後に保存をすると、「プロファイルを適応しました」という確認ダイアログが表示されるので、コントロールができていることがわかります。
 一部「ボタン」としか読み上げない箇所や部品にオルト属性がついていないなどはありますけど、ボイスオーバーで十分に操作できるアプリです。問題点は使用制限時間から復帰したならアイコンの並びがめちゃくちゃになってしまうことで、フォルダ内に格納してあったものも最初はばらばらにされていたりしました。どうしても並びが変わってもらって困るものはドックに入れるか、もう一度フォルダの整理をやり直すしかないようです。

 IOS12になると「設定」の中にスクリーンタイムという項目が追加されるので、こちらを利用するのがIOS標準であり安全で便利です。一日の端末使用時間や持ち上げた回数などを自動的にカウントするだけでなく、画面を消す機能やアプリの使用時間制限を設定することができます。ネット依存になりかかっている意志の弱い人は、自ら制限モードにしておくべきです。またファミリー共有になっていない子供の端末あるいは親のアカウントで複数ログインさせているiPadなどは、親だけが知っているスクリーンタイム専用のパスコードでロックすることにより使用制限をかけていくことになります。子供の端末にロックをかける場合リモートで操作不能にするなど強制的なことができないのに、端末がテモトニあるということは逆に本人にとってストレスになるでしょうから、事前の話し合いがたい説田と思います。一時的に時間延長するときでも親へ端末を預けなければならないのは、非常に苦痛でしょうから、設定する前にどうしてコントロールが必要なのかを理解してもらう必要があります。まぁ理解しようとしないのでこっそり設定してしまうというケースもあるかもしれませんけど、家庭内暴力にならないようご注意ください。
 すでにファミリー共有ができている場合は、相手がIOS12でなくてもスクリーンタイムでの制御ができてしまうところが素晴らしい。最初に夜間の使用不能になる時間帯を設定します。アイコンそのものは見えているのですが、使用不能の警告が出てきます。次にアプリの使用時間制限についてなのですけど、完全に個別に一つ一つのアプリが制御できるのではなく、エンターテイメントやSNSなどジャンルごとになっているのでこのあたりは完全個別にしてほしいと最初は思っていたのですが、運用していくと「こっちがだめになったから次はこれ」と次々にアプリを渡り歩けば結局は制限をかけていないのと同じになってしまうので、一括で夜間の利用不能とは別に一日の利用限度時間という形で設定するのがいいという感じになりました。曜日ごとに利用可能時間は変更できるので、親子間の譲歩により平日と週末の利用時間を決めるというのがいいのではないでしょうか?
 使用可能な時間の5分前になると警告が出てきて、その後は使用不能となりますが時間延長のリクエストを送ることはできます。親は15分だけ・一時間だけ・終日のリクエスト承認をしますが、拒否もできます。その他に端末パスコードを勝手に変えられないようにするとかファミリー共有から勝手に抜け出せないようにアカウント情報の編集をロックする機能もあるので、非常に強力です。大学生にもなり毎月の利用料金はアルバイトで稼いだお金で負担するくらいになると、そこからは自己責任でiPhoneの管理もさせればいいと思うのですけど、高校生まではファミリー共有の中で監視していくのがベターではないかというのが個人的意見です。IOSに組み込まれたスクリーンタイムですから、もちろんボイスオーバーですべて操作可能です。
 ペアレンタルコントロールの効果ですけど、アプリの年齢制限は試してみましたがこれは根拠が明瞭でなく意図しない動作になっていたので、キッズブロックでは使いませんでした。キッズブロックとスクリーンタイムどちらも同じですが、夜間の使用制限は子供と事前に約束をして導入したので、時間が来たなら自動的にアイコンそのものが消失してしまいます。アイコンがないのですから子供も手の出しようがないという感じで、初日だけはごねていましたけど二日目からはあきらめムードであっさりと降参しています。また解禁されている時間帯でも食事中のyoutubeを停止しなかったりすると強制的にアイコンを消されてしまったことがあり、「これは逆らっていると大変だ」とまぁまぁ大人の言いつけを守っています。まぁまぁというところが、やはり微妙ですが・・・。
 そしてスクリーンタイムのアプリ利用時間制限は、「どのようにして不自由を感じることなく使えばいいのか」を工夫するようになってきたと信じています。たとえば中学生は夜のタイムアウトが22時なのですけど、帰宅してくるのを18時としてアプリの制限時間を4時間と合意でしました。これなら帰宅してからはずっと使い続けられる計算にはなっているので、朝に動画を見ることをやめましたし夜までに使うラインの時間を極力抑えたりなどするようになっています。休日は倍の8時間とはしているものの、今までなら動画が流しっぱなしだったのに別のことをやるようにしているみたいです。小学生は朝の集団登校に差し支えないように利用開始可能な時間が遅く設定してあり、夜のタイムアウトも20時30分ですから3時間としました。雨の日など下校してからずっと家にいるときにはタイムアップさせてしまうことがあるのですけど、宿題や食事中は使わないようにと気持ちは抑え気味になってきています。小学生は親へ泣きついて脅かして利用時間を勝ち取っていた面があるのですけど、自動的にアイコンが操作不能になるのだけは抵抗ができないので一応宿題はやるようになりましたが、先に全部片付けるようになってくれればいいのに。

 感想ですけど、塾が遅い日に戻ってくる電車が変更になったことをフェイスタイムオーディオで連絡できたり母親とラインでの事前連絡ができたりと、やはり便利です。インストールしてあるアプリも把握ができているので、ネット被害に遭遇するようなこともあまり心配しなくて良さそうです。Google翻訳など、学習に役立つアプリは追加でインストールしています。夜に自動的にアイコンが使用不能になると文句を言っても仕方ないとあきらめているのでネット中毒は防げています。クラスメートに延々と夜中までゲームをしていたり真夜中にラインが来ていたりするらしいですが、ねぼすけの子供たちは最初はうらやましがっていても別世界のものと割り切ってくれました。
 日本で初めて実用化された移動電話は自動車電話であり、実は携帯電話ではありませんでした。そこから売り切り型の携帯電話が発売されたなら劇的に小型化され、ポケベルのメッセージ機能がiモードで携帯電話に統合されたなら一気に一人一台の時代になって、スマートフォンという分野は既に存在していたもののiPhoneの登場によって世界中の人々の行動パターンが変わってしまいました。私の学生時代には前日までに待ち合わせ場所を決めておいて、もし電車に乗り遅れでもしたなら全員に迷惑がかかるということで余裕を持って行動するのが当たり前だったのですけど、今は当日に電車の中からでも連絡ができるのでいい加減な行動をしてしまいます。便利さは厳格な行動を崩してしまいましたけど、これも大人が自らやってしまっていることなので学生の子供たちだけを締め上げることはできないでしょう。ですから、中毒にならないことと犯罪に巻き込まれないようにだけは親として気を遣い続けていくつもりです。