『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

低価格でのモバイルルータ導入に成功、しかもLTEです

 今回は仕事面より趣味の範囲の方が色濃いのですけど、低価格でのモバイルルータ導入に成功したので報告してみたいと思います。テザリングのできるスマートフォン花盛りですけど、用途によっては「このようなやり方があってもいいのでは?」というところです。視覚障害者のためのL-04Dの操作解説もさせてもらっています。
 追記:わずか半年で紹介しているsimカードサービスが他社と比べものにならないレベルへ品質が落ちてしまったので、現在は乗り換えています。したがって、一部の記述を削除しました。

 インターネットの普及は鍼灸の研修にも飛躍的な後押しとなり、企業ステイタスですから鍼灸院にホームページを持つことは重要であり、鍼灸師鍼灸学校学生のための資料提供を目的としたホームページを「にき鍼灸院」では解説をしてきました。おかげさまで一定数のアクセスを毎日してもらっています。
 また研修会のアピールから研究成果の報告だけでなく、漢方鍼医会では月例会後ではなかなか取れない会議時間をスカイプで代用したり録音データ配布など、今や研修会とは切っても切れない存在になっています。漢方鍼医会ではメールの締める存在が大きく特にメーリングリストは「こんな質問をしてみたかったけど」のような情報の共有化だけでなく、各種プロジェクトでは添付ファイルによるデータの相互交換により「新版漢方鍼医基礎講座」や「取穴書」のデータが作成されました。
 そしてiPadなどは今や研修会に持参してくる会員も多く、各種資料を収めていたりメモ書きに活用したりその場での検索など様々に活用されています。特に古典をそのままPDF化しての閲覧は、私のような視覚障害者には悔しいですけど、図書館がそのまま移動してきたようなものでうらやましい限りです。

 個人的にもネットとは切り離せない生活になっているのですが、鍼灸院にもすぐ近くの自宅にも無線LANがあるので、年末年始や大型連休などを含めても年間90%くらいは無線LANの電波圏内にいるのであり、この時点の私にはiPhoneは不要でした。ですからIOSバイスの最初はiPod touch第四世代であり、次にはiPad第三世代のwifiモデルとなりました。第三世代iPadは「新しいiPad」と最初呼ばれていたのに、フラッグシップの座をわずか半年で明け渡すことになってしまい「あったらしいiPad」などとネット上で嘆かれていますね、うーん悲しい。
 ところが、ミュージックプレーヤーとしても優秀なiPod touchの便利さですから滋賀漢方鍼医会の月例会は草津市であり東京の本部研修会へも持参しているとネット接続が出来ないと考えるだけで急に不安になったり接続ポイントを探し回ったりするのであり、また「取穴書」の製作で後回しにしてきたホームページやブログの打ち込み作業を子守をしながら持ち出してきたノートパソコンで作業をしていると完成したデータはすぐアップしたいのにできない、そんな不満が高まってくるのです。

 それで外出は週に数回ですし毎回必ずネット接続が必要になるわけでもないので、思いついたのが極めて低料金で維持できるモバイルwifiルータ。モバイルルータとは、携帯電話のデータ通信部分だけ契約をして、IOSバイスやパソコンとはwifiで接続をさせてしまう端末のことです。要するに自ら無線LANそのものを持ち歩こうというわけです。つまり、ノートパソコンを外出先で全く同じ環境のまま使えますし、iPod touchも新幹線の中で簡易メールチェックやニュース閲覧をしたり、家族で出かけている時もiPadで各種の検索ができるようになります。ゲーム機は我が家では絶対に買わない方針なので、これは除外。
 具体的な導入を最初に考えたのは、『スマホの月額料金を格安にイオンSIM(月額980円)』>というイオンスーパーと日本通信の共同企画で始まっていた、当初100kbpsの低速ながら使いたい放題のプランです。動画閲覧には無理がありますけどホームページなら画像圧縮技術で体感速度は数値よりかなりあるとのことですし、メールの送受信やテキストベースのアプリを動かす程度なら充分との記事でした。ベース速度は固定されているもののそれを補うチューニングがされているので、低料金で外出時のアクセスが常に必要な方にはお奨めのプランが登場してきたので、かなり注目していました。
 しかし、導入の本格的な検討へ入った頃に鍼灸院のADSLが頻繁に通話を圧迫していたので光ファイバーのキャンペーンがちょうどあり、先に光ファイバーの方を開通させていたので時機を逸してしまいました。

 「取穴書」の製作もようやく終わり、前述のように外出先でパソコンをすることが多くなってからまた導入を考えていると、楽天ブロードバンド LTEという、これも日本通信のサービスの間借りですけどNTT docomoの回線を使ったMVNO((Mobile Virtual Network Operator, 仮想移動体通信事業者)によるサービス開始の告知が目にとまりました。データ転送料が200MBまではLTEもしくはFOMAの通常速度で接続でき、データ転送料超過後は100kbpsに減速となるものの使い放題で同じく980円(消費税は含んでいますがユニバーサルサービス料3.15円は別)。
 私の用途であれば、その時には「これだ!」と思い、すぐ色々と関連情報を調べ始めました。サービスエリアや回線契約そのものは最初から問題なしなのですけど、でてくるページは機種変更で使わなくなったスマートフォンに入れて遊んでいるというものがほとんど。そして動作確認機種の中でもそうですしIT関連のサイトでレポートされているモバイルルータ本体は、価格.comなどで見ても三万円近くしており、オークションで一万円を切る程度にはガッカリ。それにオークションはやったことがありませんし。
 それでも今回は勘が働いていたので調べ続けていると、NTT docomoの2012秋の新製品紹介の記事中にモバイルルータの新しいものがあることが分かり、「現行機種なら安くなっているかも?」と調べていくとキャンペーン割引ばかりがでてくるのですが、アマゾンにお目当てのL-04D 製品 NTTドコモの単体が販売されていることを発見。LG製の端末なのですから、どうしても携帯キャリアからでないと手に入らないということはないですよね。それにモバイルルータの中では、一番の小さな機種でした。

 さて組み合わせたいものは決まったのですけど、果たしてこれで動作してくれるのか?MVMOによるsimカードなのですから、NTT docomo製品ならsimロック解除をせずそのまま使えました。simロックフリーの端末でも、もちろん使えます。
 どちらの契約もホームページからすんなり完了して、本体はコンビニから料金を振り込むと明くる日に到着。ドコモショップで少しだけボタン配置などは教えてもらっていたのですが、全く音声のでない機種を使おうとすればマニュアルを読むしかなく、ホームページからPDFファイルをもらってきます。しかし、これがプロテクトが掛けられているのでテキストの抽出ができません。最近あまり使っていなかったOCRソフトでもプロテクトの突破はできないので、xdoc2txt − PDF,WORD,EXCEL,一太郎などの各種バイナリ文書からテキストを抽出というソフトを使って、何とかマニュアルは読めるようになりました。このマニュアル、後でひどい目に遭うのですが・・・。

 さてsimカードも到着し、装着してみるのですが、通信をしません。当たり前です、L-04Dは通常ドコモショップから販売されmopera Uのプロバイダ契約を前提にしているので、初期設定を変更せねばならないのです。
 ところが、L-04Dを到着直後からWindowsXPのデスクトップにケーブルで接続するのですけど、マニュアル記載のようなドライバインストールがされずにパソコンから認識そのものをしていない漢字だったのです。通常ならsimカードなしでもパソコンとは接続できるはずですし、無線のSSIDが見えておかしくないのに一度も見えたことがないのなら、「これは初期不良ではないか?」とドコモのサポートセンターに動作状況だけ教えてもらおうと電話をしました。
 するとサポートセンターのお兄さん、ドライバの自動インストールをしない事例があったのか粘り強くサポートをしてくれるのです。SSIDは常用しているXPリーダーが読み上げていなかっただけで、助手の目を借りていたのですけどそこにありました。無線の接続先を変えて、ブラウザから直接アドレスを打ち込んでL-04Dのコントロールパネルへ入ります。状態をチェックしてから楽天ブロードバンドと接続するためのプロファイルを新規作成しました。
 プロファイル名は分かりやすい任意のものでよく、APNとユーザーIDとパスワードはsimカードに指定されたものを打ち込み保存します。プロファイルの画面に戻るので、作成したプロファイルへ設定を変更して適応ボタンを押すとL-04Dが再起動して無事に接続完了です。サポートセンターのお兄さん、本当にありがとう。

 外で使ってみる前にですが、ドライバの自動インストールの記載もそうですが、このマニュアルはひどかった。PDFのプロテクトには何の意味があるのでしょう?それから日本企業特有の責任回避のための注意書きがやたら多く、トラブルシューティングも責任回避の記述の方が多いくらいで直感的でなく非常にわかりにくい記述です。そして極めつけは、省電力モードで10分通信がなければ自動的に無線LAN機能が初期設定でオフになるのですけど、回復方法が読み取れませんでした。まず電源ボタンを軽くワンタッチしてディスプレイを点灯させてからwifiボタンを2秒以上押さねばならないと、後から確認すればマニュアルには書かれていましたが、方法を発見してからマニュアルの該当箇所を読んで「そうだったんだ」と、やっと理解できる書き方。一番頻繁に操作するはずのことですから、あちこちに分かりやすく何度も記載して欲しかった。
 それからコントロールパネルのHTMLもアクセシビリティへの配慮がかなり欠けており、まずログインボタンがキーボードからは捉えられずマウスでないとクリックできません。これはパスワードの箇所でそのままエンターすれば入れることが後から分かりましたけど、その他にもポップアップの箇所が標準的な動作をしない上に、前述のプロファイルを製作する時にボタンがマウス操作しか受け付けない構造にもなっていました。他の無線ルータと比べても厳しい点数しかもらえないレベルでしょう。ドコモさん、どちらも改善してください。
 (追記)「パソコンとUSBケーブル接続することでも充電できる」とありましたからiPod touchと同じくフル充電で着るものと読んでいたのですけど、実際にはバッテリーサイズが大きすぎてACコンセントからでないとフル充電が完了しないのが事実でした。しかも、別売りアダプタはUSBケーブルが付属しているのにUSBケーブル単体と変わらない値段の激安!それなら「アダプタにはUSBケーブルが付属しています」と一言書かないと・・・。この点については、また機会を改めて書きたいと思います。

 いよいよ使ってみての感想ですが、200MBまでの高速通信の範囲ですけど屋内でパソコンと接続した時には体感的にはADSLと大差がありません。iPadwifi電波のつかみがいいので、固定回線との違いを全く感じません。外出時ですが空の見える場所なら屋内の使用感と同じであり、建物の奥にいるとさすがにスピードが落ちますが、一番気になっていたradiko.jpからラジオ放送がiPod touchでもパソコンでも聴けました。テキストベースのアプリなら、普通に動作しています。
 問題は200MBの高速通信容量を使い切って低速に落ちてしまった時なのですけど、radiko.jpの再生もテキストベースのアプリも一応動作しました。ただし、後から分かったことですけどこれはサービスが始まって二ヶ月くらいまでの話で、ユーザーを多く抱えすぎた上に設備増強をしていないらしく、2013年の春先には200MBを越えてしまうとほとんど使い物にならない状況になっていました(現在はよく分かりませんが)。

 それから散々に接続完了までのことは書きましたが、いざ使い始めるとL-04Dはとてもいいです。連続で通信させていると熱くなりますがこれは許容範囲であり、普通ならウェストバッグかカバンの中へ入れているので気になりません。若い女性でも持ち歩きたくなるようなデザインで色も赤であり、軽くてうちの助手たちに人気があります。
 ここから少し、視覚障害者の方への追加情報です。、L-04Dの電池パックは自力で簡単に抜き差しできます。simカードの抜き差しもできます。角が一部削られているので、金属面を本体側にして最後まで刺さるようにして装着をします。本体はUSBポートを下側にして、ボタンがあるのが前面になります。上側にディスプレイがあり、上から電源ボタン・wifiボタン・WPSボタンです。省電力モードからの復帰は、前述のように電源ボタンを軽くワンタッチしてからwifiボタンを2秒以上押し続けます。ただし、これも後から判明したことですが電池パックが小さいのでこまめに電源を落として必要な時だけ使うのが実用的であり、電源ボタンを5秒くらい長押ししてオン・オフを切り替える使い方が便利です。
 L-04Dの無線パスワードは本体電池パックの箇所に書かれてあり、simカードに必要なAPNとユーザーIDとパスワードは同梱されてくるので、これらを見てもらいながら最初の接続には目を借りねばならないでしょう。しかし無線パスワードだけ記録しておけば、新しいパソコンなど接続先は自力で増やしていけます。

 さて低価格で導入に成功したと最初に書いたのですけど、一体どれくらい?当時のことになりますが、キャリアの初期設定費が4200円のところを開始キャンペーンで2100円、モバイルルータ本体が8100円に、対応するケーブルが手元になかったのでUSBケーブルが880円。コンビニ払いとしたので振り込み手数料はありませんから、11080円が初期投資で、月々の通信料が980円にユニバーサルサービス量3.15円ということになりました(一週間後にACコンセントからの別売りアダプタ945円の追加が必要でしたが)。
 鍼灸院と自宅には早い固定回線があり、外出時にすこしだけ使えればいいのですから特に初期投資を押さえられたことで、自分では合格点を出しています。後にsimカードを入れ替えるだけでサービスの乗り換えもできましたから、特にモバイルルータの選択はバッチリでしたね。