『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

鍼灸院の二度目のリニューアル、その2、工夫で設備更新

フットスイッチの仮固定の様子

 前回鍼灸院の二度目のリニューアル、その1、駐車場を拡張では、2013年4月から突然に自前の駐車場の分しか予約が取れなくなってしまい、お隣さんと利害関係が一致できたので駐車場を拡張できるまでのことを書きました。これだけで「にき鍼灸院」としては充分なリニューアルだったのですけど、実は私の心の中では駐車場の拡張とともに構想していることが以前からありました。ベッドの増床です。
 今回と次回に分けて、一つベッドを増やすだけなのですけどこれによって建物の外側以外は完全に入れ替わってしまったというくらい、鍼灸院が変化できたことについて書いてみたいと思います。今回はベッドを増やすという以外の部分でのリニューアルについて取り上げました。

 駐車場にアスファルトが再び敷設され、2013年6月13日から治療室の中にある五台のベッド以上に自動車が駐車できるようになって、二ヶ月半の苦しい運営から開放をされました。今年度は助手の補充がうまくいかず、うちの奥さんも陰から支えてはくれているのですが治療室としては一人になった助手が奮闘して支えてくれていたという状況も加わり、外の自動車の駐車台数を常に気にしながらの診療は、時には息苦しささえ感じるほどでした。さらっと書いている以上に本当に運営が「苦しい」という状況でした。私一人では治療室を回せてはいけないので、二人にはお礼を伝えきれないほど感謝しています。
 しかし、逆境での火事場の馬鹿力が出ていたのか毎年以上のペースで予約の電話が掛かってきます。それで必要は発明の母なので様々なアイデアも飛び出してきて、この際ですから一気に工事の追加発注をしました。

 まずは電動ベッドの高さを上下させるためのフットスイッチですが、オプションで追加して両側に配置をするというのは師匠のアイデアです。ですから、私も開業当初から両側にフットスイッチを配置して使ってきました。ところが、師匠のところでは一番足元側にフットスイッチが固定してあったのですけど「視覚障害者だからわかりにくいだろう」と親父が中央に固定をしてくれました。
 ここで「してくれました」と一応尊敬を込めて書きましたが、私の意見を無視して固定されてしまったというのが本当のところです。何せ一番立ちたいところにフットスイッチがあるのですから、広い場所をわざわざ狭くして使っているのと同じことであり、姿勢が悪くなってしまうこともしばしばでした。さらに具合の悪いことに金具でガッチリ固定したために掃除で動かそうとしてもフットスイッチを壊してしまいそうになるため、なかなか移動させられない代物になっていました。
 それで外の工事中に工務店に頼んで、サービスで金具を外してもらいました。足元側での固定は100円均一ショップで売っているドアストッパーで両側から挟み込めば、仮固定の形が出来るだろうと考えていました。金具を外してもらった当日は小学生の娘に買い物へ走ってもらったりフットスイッチがベッドの下へ潜り込んでしまったりと大騒ぎもしましたけど、ベッドの足の高さを調節し治してフットスイッチが下へ潜り込まないようにしたならドアストッパーでの仮固定は大成功でした。また購入した年代によって少しずつベッド本体の形状が変更されているのですが、今回新規に購入したものはフットスイッチから後ろ方向ではなく横方向にコードが出ている形状に変更されていたのですけど、これもコードとベッドの間にドアストッパーを噛ませることで仮固定が出来ています。ドアストッパーによる仮固定の一例を写真掲載しておきました。
 仮固定の方が掃除の時に便利であり、どうしても足元が邪魔な時にはフットスイッチを移動させられるので、毎朝の固定チェックは必要ですけどこの方式はとても便利ですよ。フットスイッチは法律で後からの増設が今は出来ないので、購入時に申し込んでおく必要があります。

 次に結論から書けば設計ミスだったのですけど、風通しに関する不具合を解消させました。建物のデザインとして出窓を多く採用しているのですが、家庭用の出窓には普通に大きなガラス部分が網戸になっているのにこの出窓には網戸がありませんでした。一つ試験的に小さな治療室の出窓に網戸が取り付けられるか改造をしてもらっていたのですけど、当時の材料費はかなり高額だったので追加の改造をしていませんでした。今回は待合室と大きな治療室の合計三つの出窓の改造をしてもらいました。しかし、今回も工事そのものは簡単になっていましたが製作にはかなりの手間が掛かるようで、厳選した箇所のみで全てに改造を施したわけではありません。
 それでも駐輪場の屋根と合わせて待合室は劇的に涼しくなり、2013年の酷暑でもエアコンを入れた日数をかなり抑えることが出来ました。また大きな治療室は梅雨時期からは外以上に蒸し暑くなることがありスタッフには毎年悩みの種だったのですが、風通しがとてもよくなり、こちらもエアコンを入れる時間帯が少なくなったくらいです。

 風通しということでは、逆に風を遮断することも大切ですね。建物というのは実際に使ってみないと運用面で分からないことが多く、開業をしたのが3月でしたから最初は治療室が広いので暖房が効きにくいのだろう程度に思っていました。しかし、症状に気づいたのは階段を上った二階の洗濯物を干していた部分の床が毎晩水浸しになっていることからでした。冷たい空気は下降し暖かい空気は上昇をするというのは自然現象で、事務スペースの奥には裏口と二階への階段があるのですけどここから暖気がすべて二階へ上がってしまい、気温が下がると結露をして雨が降ったような状態となり水浸しになってしまっていたのです。
 「これはまずい」ということで、応急処置としてカーテン屋さんに頼んで階段のところへカーテンをつり下げることで二階が水浸しになる現象はすぐくい止められました。それでもこの応急処置ではまだ裏口が丸出し状態だったので、夏はエアコンのパワーがあったのであまり気になっていなかったのですけど、秋が深まってくると暖房がどんどん効かなくなってきてしまいます。このままだと積雪があるほどの寒さになるといくら暖房をしても追いつかないということが現実となり、それで第二弾の処置として事務スペースの奥に天井から床までの暗幕をつり下げることで風通しを遮断し、これでやっと積雪時でも暖房が効くようになりました。設計ミスといえばミスだったのでしょうが、半年も具体的な処置を打てなかったのですから、私のミスが一番大きかったと今でも反省しています。壁を増設してドアを通り抜けるような形も考えたのですが、春や秋は風通しがあった方がいいので暗幕というアイデアはこれは今でも正解だったと思います。
 けれどインテリア業者に急いで作成してもらった暗幕ですから、またミスがありました。積雪があるくらいの寒さになると外と中とでは寒暖の差がさらに大きくなり、暗幕でさえも押し上げて冷たい空気が事務スペースへ流入してくるのです。当時の暗幕は学校にあるような分厚いものでとても高価でしたから、大げさな量ではないので一番奥に座っている私だけが年間の何日か寒さを我慢すればいいだけと設備の更新を渋っていたのですけど、カーテンレール交換の時に一緒に工事をしてもらいました。
 今回は冷たい風が押し上げてきてもまくれ上がらないようにより長いカーテンにしてもらったことと、遮断をする範囲もより大きくしてもらいました。そしてカーテンがまくれ上がらないもう一つの方法として、壁にマジックテープを貼って仮固定で通り抜ける時意外は動かないようにもしました。
 このマジックテープでの仮固定は効果絶大で、驚くほど暖房効率が向上しています。積雪級の寒さになるとそれでもカーテンがまくれ上がってくるはずなので、追加でロッカー部分と床の部分にもマジックテープでの仮固定を追加しました。カーテンはどんどん進化をしていて、以前のような分厚さのものではないのに同じだけの保温性能があるということで価格的にも低くなっており、「なんで早く交換せんかったんやろ」と、笑ってしまいましたね。

 ここからは今回のリニューアル以前に行っていた改良なので余談(一部笑い話)になりますが、話題を三つ。

 一つ目は、同じくカーテンでの空気の遮断ということで出窓のカーテンも重要でした。小さな治療室は後から作ったものなのでベッドの横にある出窓は間仕切り用のカーテンで常に見えない状態になっています。見えていないと備品置き場になってしまうのは人情というもので、普段は使わないがすぐ取り出したいという備品が並んでしまいました。ところが、これが外から様子が見えているという指摘がありました。
 備品置き場は譲れないので、外から見えないようにするための分厚いカーテンを注文してぶら下げました。すると結果的に今回の暗幕と同等のものだったのですけど外気からの遮断が強固となり、このベッドは積雪があると冷たい風が時にはあるのでエアコンの風を当てるようにして対処していたのですが、全くその必要がなくなりました。夏も熱い空気の停滞がなくなり、均一な温度でどのベッドも寝ていただけるようになりました。でも、このカーテンが小さいのに高価だったので今回の暗幕設置を渋っていた要因にもなっていたんですけどね。

 二つ目は落雪対策の雪止めを設置したことです。積雪があった時の建物の雪というのは、そのまま溶けてしまうまで乗せ続けるか落としてしまうのかのどちらかのようで、彦根地域の積雪量であれば乗せ続けていても問題はないのですけど通常は落としてしまう構造が採用されています。鍼灸院の建物にしても、落としてしまうことで一箇所を除いては問題ありませんでした。
 問題のあった一箇所というのは、玄関の大屋根でした。これも設計ミスといえなくはないのですが、積雪後に気温が上昇してくると大屋根からの落雪が玄関の階段前にどんと積もってしまうのです。朝に除雪作業をしたのに、階段の前にだけ積雪が再びできてしまうという状況が何度もありました。しかも、診療中だと外へでて除雪をする時間がないこともしばしばで、これも多くの患者さんにご迷惑をお掛けしました。
 近年になって屋根の端っこに後付けできる雪止め金具ができてきて、大規模な工事をすることなく雪が溶けるまで屋根に乗せ続けることができるようになりました。即ち玄関の階段前にだけ再び積雪ができることがなくなりました。こちらの精神衛生面でも、これはプラスになりましたね。

 三つ目はほとんど笑い話なのですが、思わぬことで問題解決した例です。玄関ドアの鍵がいつの間にかとても硬く動きにくいことを気付いたのは、年末の大掃除の時でした。鍼灸院での掃除だけでなく電灯の管理や鍵の開閉などは助手の役目ですから、玄関ドアの鍵を私が内側から回したことなど十年以上もなかったのですけど、大掃除でドアを拭いていて鍵を回そうとするときつくて指が痛くなってしまいます。
 外側からキーを使って開閉したことは何度もあったのですけど別に堅くなっていることはなかったので、「おいおいこれはなんやねん」と尋ねたなら「ずっとその硬さです」との答えです。先輩助手からの申し伝えだったといいますから、それも「冬場はより堅くなるので頑張って」といわれていたといいますから呆れ果てました。ドアの内側で鍵の部分を触ってみると、ベトベトになっています。潤滑油の臭いもしますから時間経過で、しかも夏場の高温にさらされて油が煮えてしまいベトベトになっていたのでしょう。
 それで母親が昔足文ミシンにマシンオイルを刺して滑りをよくしていたのを思い出し自動車部品のオイルを買ってきてもらおうかと思ったのですけど、もう一つ思い出したことがありました。外付けフロッピードライブの接触不良を修理するのに接点復活剤を買ったのですけど、あまりに大きなスプレーだったので捨てずに棚の上へ上げっぱなしになっていたのです。潤滑剤の一種だからとスプレーしてみると、すぐ鍵がくるくると回るようになってしまいました。「あの指の痛みを我慢して回していたのは一体何だったのだろう?」というくらい、あっけなく問題解決したのでありました。

 では、次回はベッドを増床するまでを書いていきます。