『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

天井の癒し

天井の絵は額に入りました

 毎回が長文で堅い話題のこの「院長ブログ」ですが、今回は短文で柔らかい話題です。

 写真はA,B,C,Dベッドの天井に取り付けてある額の様子です。この額の中にはA3サイズの絵や写真を入れます。E,Fベッドの上にも、同じ額を取り付けました。
 治療ベッドに仰臥位で休んでもらった時、何か眺めるものがあったらいいのになぁというのは、助手時代に何度も遊びに行かせてもらった先輩鍼灸師の治療室の天井に工夫がしてあったことからです。その先輩鍼灸師は二つ年上だけなのにやり手もやり手で、二十代前半なのに毎日30名以上の患者数があり助手もどんどん増やしていて、それでいて経営至上主義ではないという先生でした。でも、タバコとお酒が大好きで飲みに連れて行ってもらうと豪快に注文されまくっていましたけどね。
 当時はまだワープロ専用機がどんどん進化していたという時代なので、自作パンフレットが印刷屋に頼まなくても自由に作れるようになってきたという頃です。それで師匠の鍼灸院でも「受診のしおり」などを作成していたのですけど、そしてその先輩の鍼灸院のパンフレットを何種類か打ち込んだこともあったのですけど、PRできるものは何でもPRして行こうという先輩だったので天井に西洋医学東洋医学の比較表を張り付けられたのです。天井のものは手書きでしたけど、確かその比較表をワープロに打ち直した記憶もあります。

 師匠の鍼灸院でも同じことをしようかと話は出たのですが、「西洋医学=局所的、東洋医学=全体的」「西洋医学=分析的」「東洋医学=総合的」など、ここには掲載しませんでしたけどこの続きの比較がちょっと過激だったので師匠のカラーには合わないということで、天井のアイデアはもらいませんでした。
 さて自分で開業をすると、最初から満員御礼などありませんから何とか色々な方法でPRをしたいものであり、前述のように自作パンフレットを数多く作成することが功を奏したと今からは思えます。天井のアイデアも一息ついた頃に考えてはみたのですけど、既に自作パンフレットの方で私のカラーとして出しているので、今さら過激な比較表もないなぁと思いました。
 でも、天井のアイデアは捨てがたい。そういえば昔の眼圧検査は、麻酔の目薬を入れて眼球に直接器具を当てるという方式であり、目線を絞らせるために天井に十字架のような印が張り付けてあったことも思い出しました。

 そこで発想を変えてみました。今まで天井に張り付けられていたものは教育的というのか指導的なものばかりだったので、絵画でも眺めていたなら治療への緊張感が和らげられるのではないか?
 最初は直接天井にセロテープで、カレンダーから切り出してきた写真を貼り付けました。コンパネが天井の裏側に埋め込まれていなかったのでセロテープが一番確実だったのですけど、暖房の熱でセロテープが段々とダメになってしまいました。
 次は深いピンを打ち込むことで貼り付けてみたのですけど、写真の四隅が欠けてしまうことと時々ピンが落下してくるので、顔の真上には来ないようにしてありましたけど危険なので止めることに。
 2000年のリニューアルで天井の裏側は全面コンパネとなりましたから、押しピンでしっかり固定できるようになりました。けれどあちらを立てればこちらが立たずで、押しピンが堅いので絵の交換にものすごく手間が掛かるようになったので、台座を造りそこへ固定するようにしてもらいました。これでもまだ問題がかなり残っていて、台座を付けた分だけやはり絵の交換にはバランスが微妙なので大変であり、絵にほこりが付いてきてもふき掃除ができない状態だったのです。

 2013年のベッド増床のためカーテンレールを交換し、足元の蛍光灯の位置もずらせましたから、天井のクロスも同時に張り替えることになりました。この時に台座も撤去したのですけど、少しずつ抱えていた問題点を全て解決してきたリニューアルだったので天井の絵についても「絶対に解決してやる!」と密かに誓っていました。
 額の中に絵や写真を入れてしまえば、まず表面の掃除ができるようになります。うまくすれば定期的に中身を入れ替えることもできるようになります。ここまでのアイデアは、いつ思いついたのかは忘れましたけど割と早くにありました。問題は壁や天井に固定できるタイプの額があるかどうかであり、仮にあってもどのようにして固定するかです。
 とりあえずベッド増床が優先だったので、少し落ち着いた頃からショッピングモールの文房具を扱っているお店を中心に回ってみたのですけど、そのような額はありそうです。やはり問題は、どのようにして固定するかでした。自分で釘を打ち込んで固定する?文房具屋の店長に来てもらってやってもらう?どちらも現実的ではありません。
 そういえばカーテンレールを設置してもらったインテリア業者は様々な加工もしてくれることを思い出し、相談をしてみました。するとカタログから額を見つけだしてくれて、一つ取り寄せたなら天井へ固定するために多少加工が必要だと、見本を作成してから持ってきてくれました。すぐ六台分を発注し、取り付け作業には時間が必要だったので昼休みの二日分を使って取り付けてもらいました。

 これで理想通りの、天井の癒しが完成できました。電動ベッドの高さを上げておけば簡単に手が届くので表面のふき掃除ができますし、ドライバーを使ってネジを緩めれば額の一片が取り外せるので中身の交換が実に簡単です。絵や写真は買ってきた本の中から、コンビニでのカラー拡大コピーで充分になりました。
 目から自然に入ってくる季節に合わせた絵や写真によって、治療の補足になるように気を配っていきます。