『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

研修会での託児システムが起動しました

三人でぐっすり

 突然ですが、漢方鍼医会本部でもシステムとして準備されあとは利用者からの申し込みを待つだけの状態にはなっているのですけど、一足先に滋賀漢方鍼医会では「託児システム」が2010年度から正式に起動しました。

 今に始まったことではありませんが女性の社会進出はめざましいというよりも絶対に必要な力であり、これは鍼灸師の世界でも同じことです。事実として『にき鍼灸院』での今までの助手はほとんどが助成でしたし、ベッドの数からしても様々なトラブルや状況を考えると今後も一人は必ず助成の助手が必要です。もと助手たちは開業をしていますし、現在二名いる女性助手も開業を目指しています。また都会では女性鍼灸師による女性専門鍼灸院というのも多く存在しているようで、2010年の本部入門講座は三分の二が女性からの申し込みでした。
 これだけ女性鍼灸師が勉強し活躍されているのに、学会や研修会での託児システムが不備だったということは、男性中心に動いてきた社会構造からの歪みであり急がねばならない改善点でしょう。少なくとも夫婦が鍼灸師であり研修会でもそれなりの立場をさせてもらっている筆者としては、強く使命感を感じていました。

そこで構成人員が女性で半分を超えている滋賀漢方鍼医会としては、今の身軽さも武器に託児システムの確立を目指しました。 ぶっちゃけた話は現時点で託児を利用するのが「にき鍼灸院」の副院長、つまり筆者の奥さんであり家族ということにはなるのですけど、前述のように開業している元助手たちがいますし今後のことを見据えての先行投資を開始してもらったわけです。
 具体的な準備は、まずインターネットの職業別電話帳で業者へ一件ずつ電話をしました。研修会場が地元ではありませんから、インターネットの力はやはり大きいですね。検索キーワードは「託児」と「ベビーシッター」でやってみたのですが、少し結果が違ってきます。現在利用させてもらっている会場は公共施設なので託児室を完備しており、しかも会議室利用の場合には託児室が無料というのがラッキーなので、派遣をしてもらうということからベビーシッターの業者へ電話を掛けました。
 業者にも様々な形態があるので対応はまちまちでしたけど、さすがにベビーシッターの資格を保有している人を派遣するという点では一致していました。それでどこを絞ったかですけど、研修会が第三日曜日に固定なので連休にぶつかってもそのままですから、対応が必ずしてもらえるそれなりに大きな業者とし、次には乳児に対して法的な必要人数をすぐに示してもらえたかで事故への対処度合いを見定めました。それから費用が研修会との折半になるので、領収書を分割発行してもらえるかもポイントでした。
 そのような交渉をしてから見積もりを出してもらったのですけど、ここが一番のポイントになったでしょう。どこの世界でもよくある話なのですけど、見積もり段階では「こんなに安くできますよ」と宣伝しておきながら、実際には手数料などを上乗せしてくるケースがあるということです。休日加算や交通費や保険料などであり、見積もり段階でキャンセルOKかを確認しておきました。
 それから人数が多かったり授乳が必要な場合には派遣タイプが便利なのですけど、人数が少なければ預けにいった方が安上がりなので、切り替えができるのかもチェックすべきでしょうね。また特別研修などで会場が変更になる時には、その地元の役所関連のホームページから一時保育や保育士ではなく講習を受けた一般人による託児サービスというのも存在しているので、粘り強く調べることが今回の経験ではポイントに感じています。

 それでどのように研修会と折半することになったかなのですが、講義に関しては録音であとから勉強することが可能なので実技時間に限っての補助となりました。ですから、研修会の時間割によって多少変わることになるのですけど、原則としては午後のみの補助と決定されました。利用者としても、妥当だと思いました。
 具体的な数字は伏せるとして、相場として午後の四時間で一人のベビーシッターにつき一万円あれば大丈夫みたいです。大都会だと、もう少し高いかな?今回頼んだ業者は保険を含めての総額であり、この金額をそれなりに下回っていますけど、他の業者の見積もりからしても大丈夫な金額でしょう。この半額ずつを研修会と利用者で折半していこうということであり、派遣人数が少なかったり利用者が多ければそれだけ負担額が小さくなることとなります。逆に乳児がいたり利用者が少なければ負担額は大きくなりますが、それは仕方ないことでしょう。また託児室に利用料が必要な施設では、その加算もでてきます。

 さて、いきなりシステム起動というわけにも行かなかったので一月から三月まではテストケースということで、全て個人負担で実施してみました。一月はにき鍼灸院でのオープン例会であり、長女と長男は親戚に預かってもらって七ヶ月の次男だけ講習を受けた一般の方での託児をお願いしました。二階の和室ということで何かあればすぐ上がっていけばいいという環境であり、最初は泣いていた次男でしたが付き添いの方の休憩室にもなっていたので二人に見てもらえて途中からはしっかり遊んでいたようです。
 2010年2月の例会からは草津市の研修会場となり、託児室は何度か利用させてもらったことがあるので場所に関しては違和感はありませんでした。またこちらも容量が分かっている場所なので、研修会場と託児室が三階と二階に離れてはいるものの、特に不便を感じることはありませんでした。しかし、自動車に乗ると子供は寝てしまうものですから最初は気むずかしくエンジンが掛かるまでに少し時間はかかったようです。そこはプロの先生方ですからおもちゃを沢山持参して頂き、折り紙をしてもらったりと段々とエンジンも温まり、普段利用させてもらっている地元の保育園の一時保育と同じく楽しく遊べたようです。こちらの準備不足で授乳が途中で必要でしたが、三月の例会では乳児用の水筒も持参して、先生は替わられたものの三人とも大暴れでした。またお願いをして、連絡ノートも書いてもらえることとなりました。

 さて四月例会から託児システムとして正式スタートしたわけですけど、結婚を間近に控えた元助手には姪が誕生してますます子供が欲しいと連発していましたし、結婚して一年経過した元助手も本部でも指導員に抜擢されたばかりですが安心して研修活動が続けられるようになったと出産に意欲的な発言が飛び出していました。安心して研修会に出席できるということは女性鍼灸師としての資質向上につながるだけでなく、男性鍼灸師にも小児や育児の情報が入るという点でプラス面が多いと実感します。また人材流出を防ぎすそ野を広げ、貴重な経験を次の世代に伝えることによって研修会自体が大きく発展することにもなります。
 それで子供たちの反応は、三回目であり先生方も二回目ずつということでかなり手慣れた感じになっています。ベビーシッター三人までの派遣を予算に組み入れてもらえましたから託児室の広さからも子供が十人くらいまで大丈夫であり、今後に利用者が増えることを期待しましょう。子供たちの健やかな成長を願って、三人一緒に熟睡している写真を掲載させてもらいました。